中国チベット自治区で進むノルブリンカ古文書の整理 すでに29万枚登録
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【6月23日 Xinhua News】中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ラサ市(Lhasa)にあるかつての離宮、ノルブリンカの文化財庫には、シュロの葉(貝多羅葉)に書かれた古文書が保管されている。「梵挟装」と呼ばれる独特の方法で保存されており、1枚ずつ2枚の板で挟み、布で包んである。
ノルブリンカは「宝の庭」を意味する。全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)と世界文化遺産にも指定されるチベットで長い歴史を持つ庭園で、歴史や言語学、医学などの貴重な古文書が良好な保存状態で収蔵されている。
ノルブリンカ管理処古文書調査チームの久米次成(Gyumey Tsultrim)さんは、同僚と共に手書きやパソコン入力で古文書の調査・登録を行っている。登録内容は古文書の内容や材質、年代だけでなく、重量や寸法、破損状況、修復提案なども含まれ、情報はパソコンに保存された可視化データとともに古文書の「身分証明」となる。
久米次成さんは「現在登録している貝多羅葉の経典は自治区の貝多羅葉経典保護工作グループが十数年前に各地で収集し、修復した。ここ数年は古文書保護がますます重視されている」と説明。貝多羅葉経典は古代チベット文化を研究する一次資料で、中でも自治区は乾燥した気候、独自の保護方法により保存状態が良いという。自治区が収蔵するサンスクリット語の貝多羅葉経典は千箱余り、計6万枚に上り、現存する貝多羅葉経典の6~8割を占める。
自治区は2013年以降、文化財の科学技術保護活動を続けており、ノルブリンカなど条件が比較的整った文化・博物館機関が先進的な保存・環境検査設備を特注し、文化財と古文書を保護している。
ノルブリンカ管理処文物課の辺珍副課長は「今は特注の収納棚で保管しているが、伝統的な『梵挟装』による装丁方式は維持し、古文書の摩耗を減らしている」と説明。「先祖が生み出した保存方法は現代の文明社会でも伝承され、踏襲されるべきだ」と語った。
同管理処は2018年9月、自治区古籍保護センターと合同でノルブリンカ古文書の全面調査を開始。これまでに5カ所の収蔵地点に保管された1800箱余り、29万枚を超える貴重な古文書の調査と登録作業を完了した。(c)Xinhua News/AFPBB News