【6月21日 Xinhua News】中国北京市の中心部、二環路内にある日本料理店「禧盒食・居酒屋」では連日、河北省(Hebei)出身の白景衛(Bai Jingwei)店長(40)が忙しく働いている。白さんが経営するこの店は業績が好調、多彩なメニューが人気で、1日の平均客数は約150人を数える。

 ここ数年、寿司や刺身、うどん、日本酒など、さまざまな日本食が中国市場で大流行しており、新鮮な食材と多彩な料理を売りに、インテリアや食器の配置にも日本文化を取り入れた多様な日本料理店が、大都市から小都市まで数多く出現している。日本料理はますます多くの人々にとって身近なものになっており、日本料理を味わう人が増え続けている。

 和食業界歴20年以上の白さんだが、日本料理との出会いは全くの偶然だったという。1990年代、日本で料理を学んだ友人が中国に帰国し、レストランをオープンした。白さんはその時に、食材の買い付けを手伝ったのをきっかけに日本料理が気に入って学び始めた。

 食文化が異なり、さまざまな原材料や調味料も中国とは違うため、日本料理を学ぶのは容易ではなかった。白さんは、ただ「好き」という一心で学び続け、努力のかいがあって、北京にある米資本のホテルで日本料理のシェフとなり、日本での研修も経験しながら、そこで15年間勤めた。

 2019年末、白さんは初めて自分の日本料理店を持つことを計画、北京でオープンの準備を進めていた。ところが、ちょうど店舗の内装工事を終えた直後に運悪く新型コロナウイルス感染症の流行が始まった。採用したばかりのスタッフも次々と感染し、白さんはやむなく店を畳んだ。挫折を味わった白さんだが、日本料理の腕前と当初からの志が失われることはなかった。

 感染状況が改善されたことを受け、ここ2年の間、白さんは友人と共同で北京の金融街で高級日本料理店を経営してきた。今年の春節(旧正月)明けには、日本料理店「禧盒食・居酒屋」の店長としても招かれた。

 白さんの考えでは、日本食を作るにはまず食材の新鮮さを確保しなければならず、一方で、より中国人の好みに合うように、作る過程でも工夫を凝らさなくてはならない。

 白さんは、今の時代はスピーディーなグローバルサプライチェーンが整備されており、食材の鮮度を保証してくれると話す。「禧盒食・居酒屋」では、食材のうち魚介類や他の海産物などはニュージーランド、オーストラリア、ノルウェー、カナダなどから取り寄せているが、日本料理の伝統の味を保証するため、マグロや醤油など一部の食材はやはり日本から輸入しているという。

 白さんは「日本では、寿司や焼き鳥などの料理はあっさり味が伝統だが、中国人は濃い味を好むため、中国で受け入れられやすいように改良を加えている」という。例えば、「調味料にコショウを使うとか、寿司にマヨネーズを加えるなどして、料理の味わいをより豊かにしている」のだそうだ。

 関連データによると中国の日本料理店数は近年、約10万店に達している。一線都市の北京、上海、広州(Guangzhou)、深圳(Shenzhen)のほか、天津(Tianjin)、大連(Dalian)、青島(Qingdao)、武漢(Wuhan)、南京(Nanjing)、杭州(Hangzhou)、蘇州(Suzhou)などの二線都市(省都など地方の中核都市)でも日本料理店が多数営業している。中国の外食市場調査・分析を手掛ける紅餐ブランド研究院が発表した報告書によると、21年の中国の日本食市場規模は895億元(1元=約20円)に達した。

 白さんは「日本食市場の競争はますます激化しており、需要も高まっている」と指摘。中国全体で日本料理店は10万店を超えているとの見方を示し、「北京ではここ数年、新規オープンする店舗が特に多く、大小合わせて数万店になるだろう。各店舗の1人当たり消費額は50~5千元までばらつきがある」と述べた。

 市場の活況は、白さんの日本食ビジネスに対する自信を強めている。今後は店の規模を拡大し、自分のブランドを立ち上げる予定だという。生活水準の向上に伴い、人々は健康的な食生活を重視するようになっており、新鮮な食材を使い、あっさりとした味付けと合理的な組み合わせでバランスのとれた食事構成が特徴の日本食は、人々の健康的な食生活のニーズに合致していると白さんは考えている。

 白さんは「大好きな日本料理を作り続け、より多くのおいしく、健康的で、中国人の好みに合う日本料理を作っていきたい」と先を見据えている。(c)Xinhua News/AFPBB News