【6⽉16⽇ Peopleʼs Daily】中国・四川省(Sichuan)の平昌県(Pingchang)双城村(Shuangcheng)は傑作油絵の『父親』の創作の地だ。村は良質な生態系や村落の伝統など多様な資源に加えてこの作品の影響力も利用して、地元を農村観光の旅先にした。双城村の経験は、農村振興における芸術の重要な価値を示している。

 浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)富陽区(Fuyang)東梓関村(Dongziguan)は、長い間修理されていなかった古い家屋を改修して、現地の伝統的な屋敷を再現した。すると1幅の水墨画のような見事な光景が出現した。かつて「呼び物」がなかった村は、多くの観光客を引きつけるようになった。

 広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)龍華区(Longhua)上囲村(Shangwei)では、かつてはごみが野ざらしで汚水が川に流れ込んでいた。今では古びた家の壁に絵が描かれ、廃屋が展示室になった。人びとは芸術の香気に包まれてのどかな生活を満喫している。重慶市(Chongqing)酉陽トゥチャ族ミャオ族自治県(Youyang Tujia and Miao Autonomous County)花田郷(Huatian)中心村(Zhongxin)では、トイレに「美の文脈」を組み込んだ。改築後のトイレに実用性と美観を併せ持たせたのだ。芸術の力を農村建設に注ぎ込めば、村の容貌が一新するだけでなく、人々に「憧れの生活」がもたらされる。

 村の振興では、形を作るだけでなく、魂を育むことも必要だ。芸術は魂を潤してくれる。雲南省(Yunnan)麗江市(Lijiang)永勝県(Yongsheng)興義村(Xingyi)では、壁絵画家の劉志誠(Liu Zhicheng)さんの作品で、住民が美を享受している。住民は徐々に美への憧れを持つようになり、多くの子どもたちは絵を学びたいと思うようになった。「芸術と夢の種子」が彼らの心の中で芽生えた。今では、住人にいつもと違う美の体験をしてもらおうと、村の芸術祭が開催されている。子どものためのアート工房も作られた。芸術を農村の生活に溶け込ませ、芸術で文化建設を導けば、農村文化の生命力を強め、住人に文化的アイデンティティーをもたらすことができる。

 芸術の利用も、最適の方法を見出してこそ効果が出る。地元の特性を活用せねばならない。山西省(Shanxi)・左権県(Zuoquan)の場合は「古い村は絵になる」だった。資源として利用したのは、地元特有の古い木や石、しっかり保護された古村の風貌だ。県は眺望のよい複数の場所に「写生基地」を作った。多くの教師や学生、芸術家が写生場所を求めてやってきて、思い思いに創作するようになった。芸術を通じて文化旅行という産業を活性化したことで、雇用もけん引された。同県は、「緑水青山は金山銀山」の理念を実行に移すことで、農村の振興の道を広げることができることを示した。

 芸術創作による居住環境の向上、芸術活動による文化の選択肢の多様化、「芸術+アルファ」による業態の革新で発展のチャンスをもたらすことも含め、新時代の農村は芸術によってさらに美しく彩られている。それぞれ特色のある芸術の実践が田野で深く展開されるにつれ、芸術は農村文化の振興の道を絶えず広げていくだろう。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News