【6⽉15⽇ Peopleʼs Daily】人民元の国際通貨機能が全面的に強まっている。人民元を「重宝」する国際的な動きが拡大中だ。

 アルゼンチン政府は4月26日、中国からの輸入を人民元で決済すると発表した。アルゼンチンのセルジオ・マッサ(Sergio Massa)経済相は同件について、「中国とアルゼンチンの通貨スワップ協定がさらに活性化する。アルゼンチンの外貨準備の強化にも寄与する。アルゼンチンの現在の経済情勢の改善にとって重要な意義を持つ」と述べた。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は2月7日、ブラジル中央銀行(Central Bank of Brazil)とブラジルにおける人民元建て決算の取り決めの構築に向けた協力覚書を締結したと発表した。約2か月後にはクロスボーダー人民元決済が始まったという。

 3月末には中国海洋石油(シノック、CNOOC)とトタルエナジーズ(TotalEnergies)の間で、中国初の人民元決済によるLNG調達の取り引きが成立した。

 2022年にはクロスボーダー人民元受払総額は2017年の3.4倍の42兆元(約822兆円)に達した。中国では外貨のクロスボーダー受払総額に占める人民元建ての受払の割合が約50%にまで上昇した。中国人民銀行はすでに29の国と地域の31行に人民元決済の権限を与えた。また、累計で40の国と地域の中央銀行または通貨当局と二国間通貨スワップ協定を締結しており、協定総額は4兆元(約78兆2448億円)を超えた。

 中国銀行研究院の王家強(Wang Jiaqiang)上席研究員は、「クロスボーダー決済機能は人民元の国際化の進展を示す重要な指標の一つだ。人民元が国際化に向かいつつあることを反映して、人民元で決済や貿易の支払いを行う国と地域が増えている」と説明した。

 ブラジル中央銀行によると、人民元がブラジルの国際準備通貨に採用されたのは2019年だった。2022年末までには同国の通貨準備に人民元が占める比率がユーロの4.74%を上回る5.37%に達した。人民元はブラジルにとって第2位の国際準備通貨になった。

 すでに80以上の国外の中央銀行あるいは通貨当局が人民元を外貨準備に組み入れており、人民元は世界第5位の準備通貨に浮上した。国際通貨基金(IMF)のSDR通貨バスケットの中での人民元のウエートは第3位だ。

 中国国際経済交流センターの張煥波(Zhang Huanbo)研究員は「数年前までは各国の中央銀行が保有する外貨準備の多くはドルだったが、近年はドルの変動が激化しており、この『かごには1種類の卵だけを入れて置く』というやり方は不利だ。一方で、人民元の準備通貨としての地位が認められてきた」と説明した。

 人民元決済銀行と通貨スワップの仕組みの構築、オフショア人民元市場の発展、中国での金融市場の開放や中国の金融機関の海外配置の前進に伴い、人民元は国際化の条件を備えつつある。また、人民元投資によりリスクヘッジ機能を強化して、通貨ミスマッチの事態を回避しようとする企業の意欲が高まった。国際通貨体系の発展はより多元的になりつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News