【6⽉14⽇ Peopleʼs Daily】26歳の肖曄(Xiao Ye)さんは今年の労働節(メーデー)連休中に友人と一緒に南京市(Nanjing)で開催された「咪豆音楽祭(Midou Festival)」に行った。北京市、上海市、重慶市(Chongqing)、昆明市(Kunming)……。音楽祭が開催される都市に行くことは、肖さんの休暇の「常態」だ。肖さんは今回の南京旅行で、1日は音楽祭を楽しみ、残りの4日は別の遊びに使った。

 今年のメーデー連休中、中国全国で40以上の音楽祭が開催された。それぞれの音楽祭には、多くのファンが詰めかける。人気の高い音楽祭では、周辺のホテルが予約で早々に埋まる。「音楽祭+観光」が、若い世代の新たな選択肢になりつつある。

 中国公演業協会の調べによると、今年のメーデー連休中の音楽祭では、チケット購入者の5割以上が、開催地以外の住人だった。音楽祭やコンサートの興行収入以外の交通、食事、宿泊などの総合支出規模は12億元(約234億円)を超えたと推定されている。

 第1回迷笛音楽祭(Midi Festival)が北京で開催されたのは2000年だった。中国ではその後の20年あまりで、各地でさまざまな音楽祭が出現した。それぞれの音楽祭の重点演目はポップス、伝統民族音楽、交響楽、声楽、ミュージカルなどだ。

 そして、多くの地方が音楽祭と文化や旅行資源を組み合わせた観光商品を打ち出して、新たなタイプの「旅の目的地」になることを目指すようになった。

 2009年に始まった張北草原音楽祭(Zhangbei Grassland Music Festival)によって、毎年数十万人の音楽ファンが河北省(Hebei)北西部の小さな街の張家口市(Zhangjiakou)張北県(Zhangbei)に足を運ぶようになった。同音楽祭はすでに、中国国内で会場規模が最大で、国際化の度合いが最も高い音楽祭の一つだ。現地関係者は音楽祭を目当てにやって来た人を取り込もうと草原観光リゾートツアー、草原民俗風情ツアーなどプレミアムツアー7種を相次いで打ち出した。そのことで地元に大きな経済効果がもたらされるようになった。

 浙江省(Zhejiang)では独特な水上ゴールデン観光ルートが構築された。先ごろ開催された新安江音楽祭(Tasogare Music Festival)の会場は、同観光ルートの中心となる建徳市(Jiande)環三江口エリアに設営された。音楽祭は現地の宿泊業、飲食業、旅行業をけん引している。

 メーデー連休中に山東省(Shandong)煙台市(Yantai)で開催された黄渤海迷笛音楽祭(Huangbohai Midi Music Festival)には10万人が押し寄せた。市当局は、音楽祭のチケットを持つ人には地元の観光地6か所の無料入場券を配るなどの地元観光への「呼び水」を設けた。

 ある業界関係者は、音楽祭はもはや単発のイベントではなく、レジャーや観光分野に融合しつつあると指摘した。若い世代の観光客層が拡大し、観光需要がより多元化する中、音楽祭と現地の観光資源を巧みに結びつけ、個性化と差別化を際立たせれば、音楽祭をシンボルとする地元の文化観光ブランドを構築することが可能だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News