【6月13日 Xinhua News】中国重慶市(Chongqing)考古学・博物館学の首席専門家を務める武仙竹(Wu Xianzhu)重慶師範大学教授の研究チームが、シベリア古動物化石研究で重要な成果を上げた。旧石器時代の古代シベリア人が動物の生態や習性を利用した狩猟技術を身につけていたことを明らかにし、古代シベリア人の定住・生活方式などに対する世界の考古学界の認識を刷新した。

 武氏によると、研究はロシアのアフォントバゴラ遺跡で見つかった1万7千年前の動物(マーモット)の化石を基本材料とし、小型哺乳動物考古学や地質考古学、古気候学などの学際研究により新たな科学的認識を得た。研究成果は中国の学術誌「第四紀研究」に発表した。

 武氏は「遺跡には2~3歳のマーモットの化石が広く分布し、多くが器物により負傷または死に至っていた」と説明。シベリアマーモットの寿命は8歳程度で、2~3歳で性的に成熟することから、化石のマーモットの多くは春の繁殖期に死んだとの見方を示した。研究では、性的に成熟したばかりのマーモットは異性に注意が向くと自己防衛がおろそかになることも分かり、狩猟者に狙われる要因になったという。

「研究結果は、旧石器時代の同地域の住民が冬眠明けに繁殖活動を行うマーモットの習性を把握し、春に草原で性的に成熟したばかりのマーモットを狙って狩りをしていたことを示している」とも指摘。「動物の習性を利用して食料資源を開発する特殊な狩猟法だ」と語った。

 シベリアは欧州、アジア、米州の3地域をつなぐ役割を果たすことから、世界の古人類進化の研究では同地域の古人類の分布や文化、伝統が常に重要な研究対象となっている。(c)Xinhua News/AFPBB News