【6月10日 AFP】元プロサッカー選手が認知症と診断される可能性は一般人と比べて3.5倍近く高いことが、イングランドサッカー協会(FA)と同国プロサッカー選手協会(PFA)が依頼した研究で明らかになった。

 英ノッティンガム大学(University of Nottingham)が実施した今回の研究は、元サッカー選手が神経認知障害のリスクが高い可能性があるというこれまでの調査結果を裏づけるものとなっている。

 新たな報告書によると、研究に参加した元プロサッカー選手で医学的に認知症や神経変性疾患と診断されたのは2.8パーセントに上ったのに対し、一般の人は0.9パーセントだったという。

 FAはこれまで、神経認知障害に苦しんでいる元選手への援助が不十分だとして、活動団体から批判を浴びてきた。

 これに対し、FAは「サッカー界をリードする」脳振とうガイドラインを導入し、U-12レベルでのヘディング練習と意図的なヘディングを制限するなどの対策を講じていると主張している。

 2015年に米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)が、神経疾患に見舞われた元選手数千人による訴訟で10億ドル(約1120億円、当時のレート)の和解に合意して以降、スポーツにおける脳振とうへの意識は高まっている。

 これによってサッカーをはじめ、ラグビーユニオン(15人制)、ラグビーリーグ(13人制)、そしてクリケットなど、世界中の競技で脳振とう対策が強化された。(c)AFP