【6月10日 AFP】英保守党のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)元首相(58)は9日、下院議員を直ちに辞職すると表明した。

 ジョンソン氏は、新型コロナウイルス対策で厳しい行動規制が敷かれる中、首相官邸でパーティーを開いていた問題で、議会で虚偽答弁を繰り返したかについて下院特権委員会による調査を受けていた。ジョンソン氏は、証拠を提出した際に議会を欺いたことはないと主張していた。

 半数以上が与党・保守党議員で構成される同委員会は、議会を欺いた行為に対し、停職などの懲戒処分を科す権限を有している。通常、10日以上の停職処分を下された議員の選挙区では補欠選挙が実施される。

 しかし、ジョンソン氏は辞任することで先手を打った格好だ。

 ジョンソン氏は同委員会から連絡を受けたことを明らかにし、「彼らはこの手続きを利用して私を議会から追放しようとしている」と主張。野党・労働党のハリエット・ハーマン(Harriet Harman)議員が委員長を務める同委員会を「つるし上げだ」と批判した。

 また、「少なくとも当面の間、議会を去らねばならないのは非常に残念だが、何よりもこれほどまでにひどい偏見に基づき、反民主主義的な追放させられることに当惑し、がく然としている」と述べた。

 さらに、まだ公表されていない同委員会の報告書について「不正確な情報と偏見に満ちている」と主張。調査結果への異議申し立てが認められていないことに不満を表明し、「最初から、事実とは無関係に私を有罪にするのを目的としている」と訴えた。

 辞任表明を受けて同委員会は、ジョンソン氏が「下院の品位をおとしめた」と批判。12日に会合を開いて調査を終了し、「速やかに」報告書を公表するとしている。(c)AFP/Anastasia CLARK