【6月9日 AFP】スウェーデンの首都ストックホルムで8日、自動運転の電気推進(EV)フェリー「エステル号(MF Estelle)」が初めて航行した。同船を運航するノルウェーの運輸会社トルガッテン(Torghatten)によると、都市部でこうした技術が使用されるのは世界初。

 エステル号には船長が乗船し、航行を監督するものの、操縦はしない。12日から、ストックホルムの島々を結ぶ短距離運航を開始する。

 トルガッテンのステイン・アンドレ・ヘリグスタッドオルセン(Stein Andre Herigstad-Olsen)最高経営責任者(CEO)は、最終的には監視員を乗船させず「全自動運転」にするつもりだと述べた。システム自体が既に「船長のようだ」としている。

 同社の執行責任者エリク・ニルソン(Erik Nilsson)氏によると、エステル号にはレーダーやカメラ、ライダー、超音波システムが装備されており、針路決定のためのデータを収集している。

 ニルソン氏は「船が方向を変えたり、カヌーを見つけた場合には、直ちに認識し、ルートを変える」と続けた。

 エステル号の総工費は約160万ドル(約2億2300万円)。定員は30人で、片道運賃は約3ドル(約420円)となっている。

 エステル号の運航により、自動車通勤に代わり、徒歩や自転車を使う人が増えることが期待される。

 トルガッテンは、ストックホルムおよび他の地域でも便数を増やす考えだ。

 エステル号は官民協力プロジェクトで、一部は欧州連合(EU)から資金援助も受けている。(c)AFP