【6月8日 AFP】世界の著名な科学者50人は8日、温室効果ガスの排出量が過去最多に上ったことと太陽光を遮る大気中の汚染物質が減少したことにより、地球温暖化が前例のないペースで進行していると警鐘を鳴らした。

 政策立案者向けにまとめられた査読済みの論文が、学術誌「地球システム科学データ(Earth System Science Data)」に掲載された。論文では、2013年~22年の10年間に気温上昇の幅は0.2度を上回り、「人間の活動に起因する」温暖化がこれまでにないペースで進行していることが報告された。

 一方で論文は、この10年で最も成功した気候変動対策の一つである石炭の使用量削減により、皮肉にも温暖化のペースが加速したと指摘している。

 石炭の使用量削減により、二酸化炭素(CO2)の排出量は抑制することができたが、これによって、太陽光を遮っていた大気汚染も減少した。

 大気汚染によるあらゆる微粒子によって、温度上昇は0.5度抑制される。つまり少なくとも短期的には、空気が浄化されるにつれて、より多くの太陽エネルギーが地表に到達することになる。

 今回の研究結果は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑える「パリ協定(Paris Agreement)」の目標達成に投げ掛けるものとなった。(c)AFP