【6月7日 AFP】大衆紙による電話盗聴などの被害を訴えているヘンリー英王子(Prince Harry、38)は6日、ロンドンの裁判所で証言を行い、10代の頃からずっと「メディアにむしばまれて」苦しめられてきたと述べた。主要王族が法廷で証言するのは過去100年以上で初めて。

 ヘンリー王子は、英大衆紙の「ミラー(Mirror)」「サンデー・ミラー(Sunday Mirror)」「サンデー・ピープル(Sunday People)」の発行元、ミラー・グループ・ニューズペーパーズ(Mirror Group NewspapersMGN)を、電話の盗聴などを含む違法な情報収集をしたとして提訴している。

 公開された証人陳述書によれば、ヘンリー王子は「今日に至るまで人生の大半」において「メディアによる執拗(しつよう)なプライバシー侵害に苦しみ続けてきた」と証言した。

 さらに「常軌を逸した状態に誰かが歯止めをかけるまで、あとどれだけ彼らは血塗られた手で記事を書き続けるのか」と訴え、メディアに貼られたレッテルとして「遊び人の王子、出来損ない、落ちこぼれ、能なし、いかさま野郎、未成年飲酒、責任を問われない薬物乱用者」などの表現を列挙した。

 さらに、「10代と20代前半の頃は、メディアが押し付けようとするさまざまな見出しの表現やステレオタイプ像を演じているような気分になり、悪循環に陥った」とし、「非常に下劣」な報道だと非難した。

 MGNの弁護士による反対尋問では、自身が訴えている記事(多くは約20年前のもの)の大半について、読んだ記憶はないと認めた。

 一方で、こうした記事に「信じられないほどむしばまれ」、強い猜疑(さいぎ)心を抱くようになって人間関係を壊されたとし、「交友関係を不必要に絶たれた」と訴えた。(c)AFP/Helen ROWE