【6⽉6⽇ Peopleʼs Daily】潮風がうなりを上げて吹き付けて巨大ブレードを動かす。羽根車の直径は158メートルだ。3枚のブレードが風を受ける円の面積は、標準的なサッカーコート2.7面分の2万平方メートル近くだ。風が生み出す絶え間ないグリーン電力は、長さ5キロの海底ケーブルを通じて海上油田群の送電網に流れ込む。この巨大な海上構造物は、中国初の深遠海浮式風力発電プラットフォームの「海油観瀾(Haiyou Guanlan)」だ。

「海油観瀾」が文昌油田群の送電網に接続されたのは5月20日だった。海上油ガス田にグリーン電力を輸送する新たなマイルストーンが樹立された。中国の深遠海風力発電全体にとっても、重要な技術の進展だった。

 中国内外の海上油田はいずれも、火力発電による電力を供給されてきた。風力発電は深遠海油田群に、よりグリーンな電力エネルギーを供給する。「海油観瀾」の稼働後の年間平均発電量は2200万キロワット時に達する。電力はすべて油田群の生産活動に使われ、天然ガス燃料を年間1000万立方メートル近く節約し、二酸化炭素排出量を2万2000トン削減する。

「海油観瀾」は海南省(Hainan)文昌市(Wenchang)から136キロ離れた海上油田海域にあり、風力発電機、浮体式基礎、係留システム、ケーブルで構成される。発電容量は7.25メガワットだ。中国で、作業海域が海岸線から100キロ以上離れ、水深が100メートルを超える海域での浮体式風力発電プラットフォームは「海油観瀾」が初めてだ。全高は200メートル超、喫水総重量は1万1000トンに達し、海底につながれている。「海油観瀾」は設計と建造において、羽根車と浮体式基礎の一体化設計とその他の技術イノベーションにより、風速毎秒60メートルクラスの猛烈な台風に見舞われても安全性と安定運行を確保した。

 中国の洋上風力発電は発展し続けている。中国再生可能エネルギー学会風力エネルギー専門委員会の秦海岩(Qin Haiyan)秘書長によると、2022年に中国の洋上風力発電能力は新規設備により516万キロワット分が追加され、発電容量は合計で3051万キロワットに達した。中国の洋上発電の規模は世界1位を維持している。大規模化と技術進歩により、中国の洋上風力発電の経済性は大幅に向上した。2010年から2021年までの11年間における発電コストの下げ幅は56%近くに達し、平均電力コストは1キロワット時当たり0.33元(約6.5円)前後にまで下がった。

 国家気候センターによると、中国の深遠海風資源は潜在力を秘めており、開発可能な電力は20億キロワットを超える。中国海洋石油集団(CNOOC)の新エネルギー部総裁を兼任する楊雲(Yang Yun)執行副総裁は、「『海油観瀾』の建設を通じて、中国の深遠海浮体式風力発電のコア技術や大型海上設置設備、産業チェーン資源の統合などの面での飛躍的進歩を推し進め、洋上風力発電と海洋石油ガスの融合的発展を模索したい」と述べた。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News