【6月5日 CNS】人工知能(AI)によるリアルタイムでの顔画像の変換が、ライブ配信ルームで静かに登場している。

 ライブ配信ルーム利用者の路垚(仮名)さんは、最近リコメンドされたいくつかのライブ配信ルームで、AIによる有名人の顔の入れ替え技術が使われて商品販売が行われていると述べた。楊冪(Yang Mi)さん、迪麗熱巴(ディリラバ、Dilraba)さん、アンジェラベイビー(Angelababy)などの人気女優が、AIによる顔画像の変換対象となっている。

「プラットフォームに苦情を申し立てても何の役にも立たない」と、彼女は語った。

 現在のAIによるリアルタイムでの顔画像の変換は、ライブ配信中においても本物と見分けがつかないレベルにまで達しており、多くの人びとは配信ルームでそれを目にしても、有名人似のキャスターなのだと思ってしまう。ただし、一部の配信ルームでは顔と体の大きさがアンバランスといった違和感が見られる。

 競争が激しいライブ配信ルームにとって、「高い顔面偏差値」はキャスターの重要な資本の一つだ。そして、「明星臉(有名人の顔)」を使用した配信は、集客効果をより効果的に高め、配信コストを節約することができる可能性がある。

 しかし、多くのユーザーは「顔画像変換」に対して反感を持っている。「そんなライブをみると、買う気がなくなる」という意見もある。

 以前に論争を引き起こした「AI孫燕姿(Sun Yanzi、シンガポール出身の女性歌手)」と同様、AIによる顔画像変換には権利侵害の問題がある。

 北京雲嘉法律事務所の趙占領(Zhao Zhanling)弁護士は、AIによる顔画像変換は主に肖像権などの問題に関わると述べている。「他人の同意なしに、あるキャスターのイメージを他人の肖像で置き換える場合、肖像権の侵害の疑いがある。また、他人の名前も使用する場合は、氏名権の侵害の疑いもある」。

 では、AIによる顔画像変換のライブ配信において、プラットフォーム側に責任があるのだろうか?

 趙弁護士は、プラットフォームがプラットフォーム内の事業者の権利侵害行為に直接的な責任を負うことはないという。そして、侵害を助長するとされるかどうかは、プラットフォームが明らかに事業者の権利侵害行為を知っていたかどうか、知っておくべきだったのかどうかによると述べている。

「一般的に、プラットフォームは通知削除の規則を利用している。つまり、権利者が侵害についてプラットフォームに通知したにもかかわらず、プラットフォームが適切に処理しない場合、プラットフォームは権利侵害を助けたことになる。しかし、プラットフォームがその処理を行った場合、その責任を問われないことが一般的だという」

 ただし通常は、プラットフォームがユーザーや権利者からの苦情について明示的に知っていたかどうか、知っておくべきかどうかの判断をする方法を決めるのは難しいと趙弁護士は語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News