ウクライナのAS双子姉妹、五輪の夢諦めず ボイコットは疑問視
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■むなしい約束
侵攻が始まった当初は、何人かのロシア選手から「心配しないで、安全な作戦だから」というメッセージを受け取ったという。しかしマリナは「ふざけないでと思う。ハルキウに来て、私たちの故郷がどうなっているかを見てほしい。私たちが練習を始めたプールも、母校も、街の中心も、何もかもが爆撃された」と憤る。
侵攻が始まってから、ロシアと同盟国ベラルーシは多くの競技で国際大会から締め出されているが、国際オリンピック委員会(IOC)は個人資格でのパリ五輪出場に向けた道筋を検討している。ウクライナはこれに反発し、5月の世界柔道選手権(World Judo Championships 2023)では選手団派遣を取りやめた。
アレクシーワ姉妹は、パリ五輪でも同じことが起こる可能性を恐れている。二人も最初は、ロシアの参加が認められるのならボイコットも辞さない姿勢だった。しかし今は少し意見を変え、ロシア勢の出場している大会には出さないという暗黙のルールを、政府は見直すべきではないかと考えている。
ウラディスラワは「もしかしたら、私たちの側で何か(方針について)はたらきかけて、変えるべきなのかもしれない」と話し、「だって、人を殺している彼らが出られて、何もしていない私たちが出られないのは、ばかげている」とこぼした。
積み重ねてきた努力が無駄になるかもしれない事実に、いら立ちを募らせる二人は、ボイコットよりも、ウクライナの不屈の精神を大会を通じて見せる方がいいと感じている。
「私たちは毎日7時間を練習に費やしていて、それに勇敢さを示すという目標もある」と語るマリナ。ウラディスラワが「母国の存在を世界に示すことも」と続けると、マリナは最後に「他の国やスポーツ選手が私たちを支持し、ロシアに対する私たちの立場を理解してくれることを願っている」と訴えた。(c)AFP/Philippe SIUBERSKI