【6月5日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が正教会に引き渡すことを決めた、同国史上最高峰とされる中世のイコン(聖像画)が4日、救世主ハリストス大聖堂(Christ the Saviour Cathedral)で一般公開された。正教会の最高指導者キリル総主教(Patriarch Kirill)は、プーチン氏の決定を称賛した。

 正教会に引き渡されたのは、ロシアの画家アンドレイ・ルブリョフ(Andrei Rublev)が600年近く前に描いた「至聖三者(Trinity)」。1929年から国立トレチャコフ美術館(Tretyakov Gallery)に保管されていた。文化財の専門家は、適切な管理が可能な美術館にとどめるべきだと反発していた。しかし、イコンは3日夜、大聖堂に移送された。

 プーチン政権は、ウクライナ侵攻への支持を集めるため、正教会とのつながりを利用してきた。

 キリル総主教はミサで、「私の要請に応じてプーチン氏が歴史的な決断」を下し、「祖国が非常に大きな敵と対峙(たいじ)している」象徴的な時期に引き渡しが実現したと語った。

 さらに、正教会として「祖国」と「正教会の大統領、ウラジミール・プーチン氏に祈りをささげた」とし、自身は「1年以上ウクライナで戦っているロシア兵のためにも祈っている」と述べた。

 映像前半は4日撮影。後半は正教会が3日撮影・提供。(c)AFP