【6月6日 Xinhua News】中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ガリ地区札達(ツァンダ)県東嘎(トンガ)村に住む仁増旺扎(レンツェンワンザ)さん(75)は皮央(ピヤン)石窟群の近くに住んでいる。

 ピヤン石窟群とそこから2キロ離れた東嘎扎西曲林寺遺跡は、併せて同自治区最大の仏教石窟遺跡「ピヤン・トンガ石窟遺跡」を形成している。2002年、文化財と史跡の保護を強化するため、ツァンダ県文化財保護部門は地元住民の中から文化財保護スタッフを採用し始めた。村で最初のメンバーの1人となった仁増旺扎さんは、以来20年以上にわたり、職責を果たしてきた。

 ピヤンで実際に調査・集計された石窟は千カ所近くあるが、長い年月を重ねる中で崩れて久しい洞窟も多く、それらは集計に含まれていない。

 13年に国務院の査定を受け、ピヤン・トンガ石窟遺跡は全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定され、世界の注目を集める中国の宝となった。

 洞窟の壁を埋め尽くす壁画は、エキゾチックな人物やデザイン、造型が際立ち、ライオンやクジャク、ゾウなどの動物も描かれ、厳密な構図と独特の造詣、リアルな表現を特徴とする。

 仁増旺扎さんは「これらの壁画は1300年前のもので、もう一つの洞窟の壁画も約千年前のものになる」と案内し「見ての通り、壁画の色は驚くほど鮮やかで、千年以上たっても色落ちしていない。鉱石由来の顔料を使っているからだ」と説明した。

 現在は3人の専任文化財保護スタッフが、ピヤン・トンガ石窟遺跡の日常の維持管理を担当している。大ベテランの仁増旺扎さんは「これらの壁画や洞窟は、私たちの歴史と文化を表している。体が許す限り、あと何年でも働ける間は働いて、将来の世代のために文化財保護の仕事を続けていきたい」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News