【6月6日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)の臥竜国家級自然保護区管理局はこのほど、2020年からの植物多様性モニタリング調査でこれまでに新種5種を発見したと明らかにした。

 新種は「熊猫馬先蒿(Pedicularis pandania)」「臥竜無柱蘭(臥竜ヒナラン、Ponerorchis wolongensis)」「臥竜盆距蘭(Gastrochilus wolongensis)」「和民盆距蘭(Gastrochilus heminii)」「臥竜報春花(Primula wolongensis)」と命名された。

 シオガマギク属の新種「熊猫馬先蒿」の発見は、同管理局の程躍紅(Cheng Yaohong)高級工程師(シニアエンジニア)と林紅強(Lin Hongqiang)副高級工程師が取り組んだ「臥竜保護区におけるシオガマギク属植物の多様性と保護に関する研究」の成果の一つ。高山の低木林・草地地帯1カ所にのみ分布し、千株以上の開花個体が確認された。草丈は10~40センチ、葉は羽状の楕円(だえん)形で柔らかい毛で覆われ、花冠は紫紅色でトランペットが下向きに連なったような形をしている。開花時期は6月中下旬~8月下旬で、7~9月末にかけて実を結ぶ。

 サクラソウ科の新種植物「臥竜報春花」は今年1月に植物分類学の国際誌「PhytoKeys」のオンライン版で発表された。標高約3400メートルの高山の低木林と草地の境界地帯の急峻な岩壁に生息する。開花期は5~6月、結実期は8~9月で、現在のところ臥竜の1カ所のみで発見されている。

 ラン科の新種「臥竜無柱蘭」は、21年11月に植物学の国際学術誌「Nordic Journal of Botany」で発表された。標高約2700メートルの急峻な崖の上に生息する。高さは約19~22センチ、7~8月に花を咲かせる。茎は紫紅色で、白い小さな花を咲かせ、真ん中が緑色をしている。現在のところジャイアントパンダ国家公園四川臥竜片区(エリア)の1カ所で成熟した個体約70株が発見されているだけで、国際自然保護連合(IUCN)の基準に照らすと「絶滅寸前(CR)」に分類される。

「臥竜盆距蘭」「和民盆距蘭」と命名されたラン科の新種2種が相次いで発見されたことで、神秘のベールで包まれていた四川省臥竜のラン科植物の多様性が明らかになった。四川臥竜エリアは典型的な高い山と深い谷の地形を特徴とし、直線距離で100キロメートル以内の標高差が5千メートルにも達する。垂直帯状に分布する広葉樹林、温帯針広混交林、亜寒帯針葉樹林、高山低木林、高山草地、高山流石灘希薄植物の植生帯を育んでいる。また、降雨による湿気や隠れ場所となる樹林地、適度な日照などが多くの植物に優れた生育条件を提供している。(c)Xinhua News/AFPBB News