【6⽉3⽇ Peopleʼs Daily】中国政府・自然資源部は先ごろ福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)で開催されたアースデイのイベントで、中国は生態保護レッドラインの策定作業を全面的に完了したと発表した。

 生態保護レッドラインとは、生態機能が極めて重要かつ脆弱であり、強制的かつ厳格に保護せねばならない地域を指す。中国は率先して生態保護レッドライン制度を提案、実施してきた。生態保護レッドラインの面積は全国315万平方キロ以上に達した。うち陸地は300万平方キロ以上で、海洋は15万平方キロ以上だ。また、管理やコントロール規則を制定して厳格に実行している。自然資源部国土空間計画局の張兵(Zhang Bing)局長は「生態保護レッドラインは国の生態安全を保障・維持するための最低ラインであり命綱だ」と説明した。

 中国国土測量計画院の馮文利(Feng Wenli)院長は、「中国では改革開放以来、経済や社会は大きく発展したが、自然生態系が破壊される深刻な状況が出現した」と指摘した。自然がもたらしてくれる産品の供給能力が低下して、経済にも影響が及んだ。馮院長は、「生態保護のレッドラインを策定して厳守することは、国が行った重大な戦略的手配だ」と述べた。

 自然資源部は生態環境部や国家林業草原局などと共同で、生態保護レッドラインの評価や調整を行い、「全国国土空間計画綱要(2021~2035年)」と省・市・県の国土空間計画を結びつけ、全国生態保護レッドラインを策定した。

 黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)が設定した生態保護レッドラインの面積は約1万700平方キロで、市面積の約20%を占める。おもな領域は主要山脈と川・湖・湿地などで、水源の涵養や土壌の維持、生物多様性の維持などに取り組んでいる。

 雲南省(Yunnan)では、省面積の29%を超える11万3200平方キロ以上が生態保護レッドラインとなり、重点保護植物の生息地の90%以上と重点保護動物の生息地と移動ルートの80%が生態保護レッドラインになった。

 馮院長によると、生態保護レッドラインはチベット高原や黄河や長江(揚子江、Yangtze River)の流域、東北森林帯、北部砂防帯、南部の丘陵・山地帯、海岸帯に集中的に分布している。陸地では天然林、草原、湿地、海岸および海洋ではマングローブ林、サンゴ礁、海草床などだ。策定時には各地の面積比率指標を設定しなかったので、生態保護レッドラインが面積の50%を超える省もあれば、10%に満たない省もある。

 現在までに浙江省(Zhejiang)、江西省(Jiangxi)、上海市、山東省(Shandong)、安徽省(Anhui)、四川省(Sichuan)などは生態保護レッドライン管理細則を発表しており、その他の大部分の省でも進められている。張局長は、「生態保護レッドラインを厳守するには長期的かつ効果的なメカニズムを完成せねばならない」と指摘した。今後は中央政府と地方の連動・協同を強化し、保護効果の評価を定期的に実施し、動的モニタリング・早期警戒能力を高め、関連法律・法規の改正を加速するなどで、人と自然が調和・共生する現代化中国を建設する方向だ。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News