中国が深海考古学で重大な進展
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【6⽉2⽇ Peopleʼs Daily】中国政府関係部門は5月21日、古い沈没船2隻を確認したと発表した。深海考古学の新たなページを開いた意義があるという。
発表によると、深海考古学共同実験室が2022年10月、南中国海の北西陸斜面の深さ約1500メートルの海底で沈没船2隻を発見した。2隻はそれぞれ、南海西北陸坡1号沈船、同2号沈船と命名された。同実験室の設立は2018年1月だった。
中国国家文物局考古司の閆亜林(Yan Yalin)司長は、深海考古学は世界の水中考古学研究の最先端分野であり、中国の水中考古学にとっても重要な発展方向でもあると説明した。
1号沈船の主な積み荷は磁器で、1万平方メートル以上にわたって散乱していた。推定で10万点を超えるという。積み荷を調べた結果、明代正徳年間の船と初歩的に判断された。2号沈船からは大量の原木が発見された。多くは簡単な加工が施されており、海外で船積みされて中国に向かっていたと考えられる。2号沈船は明代弘治年間のものと初歩的に判断された。いずれの船にも、水中永久測量基点が設置されたという。
国家文物局考古学研究センターの唐煒(Tang Wei)主任は「今回の考古学的発見では、中国の水中考古学従事者が理論、技術、方法を運用し、水中考古学作業で定められた要求に厳格に従って、深海潜水技術と機材により水深1000メートル級に位置する歴史的沈没船の系統的かつ科学的な考古学調査、記録、研究作業を初めて展開した」と説明した。
中国のこれまでの水中考古学作業は、主に沿海部と島や岩礁周辺で行われていた。今回の調査は深海域での初めての考古学作業であり、中国の深海考古学の発展にとって一里塚的な意義を持つ。
1号沈船も2号沈船も保存状態が比較的良く、文化財の点数は膨大だ。しかも年代が比較的明確であり、学術および芸術上の価値が極めて大きいという。特に南中国海の開発、利用、往来の歴史的事実の解明や、中国の海洋史、陶磁器史、海外貿易史、海上シルクロードの研究などに対して画期的な意味を持つとされる。
科学技術部社会発展科学技術司の祝学華(Zhu Xuehua)司長は、「長年の研究開発の蓄積により、中国は深海考古学に必要な技術機材と人材チームを初歩的に備えた」と説明した。機材の面では、系統化されたさまざまな機能の機材群を備えており、低コスト・高頻度・常態化・業務化の運用・維持能力を実現したという。高精度の潜水探査装置でも、中国製の関連音響機器が実用化能力を持つに至った。それ以外にも、新型のフレキシブルロボットハンドや潜水艇に取り付ける砂を吹き飛ばす装置などが水中考古学技術の向上に重要な役割を果たしているという。
発見された沈没船2隻の調査には今後、科学調査船の「探索1号」と「探索2号」、4500メートル級有人潜水艇の「深海勇士号」、1万メートル級有人潜水艇「奮闘者号」、水中ロボット「獅子魚1号」などが投入され、各種探査やサンプル採取、文化財の引き上げ作業が行われる。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News