【6月1日 AFP】生後1年までの男児は女児よりもおしゃべりだとする研究論文が5月31日、学術誌「アイサイエンス(iScience)」に発表された。女性の方が幼い頃から言語能力が高いとする通説を覆す結果に研究チームも驚いている。

 米メンフィス大学(University of Memphis)のキンブロー・オレー(Kimbrough Oller)博士らのチームは、2年間で乳幼児5899人の音声を計45万時間以上録音し、アルゴリズムを使って精査した。言語発達に関する研究サンプルとしては過去最大規模だという。

 言葉をまだ話すことができない乳幼児も、最初に鳴き声やうなり声、唇を使った音、その後「バババ」「ガガガ」のような「喃語(なんご)」と呼ばれる連続音などを発する。

 言語習得は男児より女児の方が早いという考えは長年、科学界で支持され、前言語期のこうした音も女児の方がよく発すると考えられてきた。

 だが今回の研究では、生後1年の段階で男児の方が女児よりも10%多く音を発していた。2年目になると女児が追いつき、男児よりも7%多く音を発していた。

 1年目も2年目も周囲の大人は男児よりも女児に多く話しかけていたにもかかわらず、こうした結果が出たという。

■進化論

 研究チームはこの結果について、乳幼児が発する音は養育者に自分の健康状態を知らせるためだとする進化論の一説に合致する可能性があるとしている。

 これまでの多くの研究により、生後1年目の死亡率は男児の方が女児よりも高いことが明らかになっている。遠い昔には、より音を発する男児が生き残り、遺伝子を残す確率が高かったと言えるかもしれない。

 オラー氏のチームは、乳幼児の発する音への養育者の反応について研究を進めるとしている。(c)AFP