【5月31日 CNS】中国科学院仮想経済・データ科学研究センターと中国科学院ビッグデータマイニング・知識マネージメント重点実験室は、北京で「AIイノベーションの道を探る:ゲームテクノロジーと人工知能のイノベーション発展報告」(以下、「報告」)を共同で発表した。

「報告」は、科学的探求、ゲームテクノロジー、産業需要が人工知能分野の躍進的な発展を遂げる重要な要素だと指摘している。

「報告」によれば、中国のゲーム産業の規模が1%増加するごとに、各省の人工知能上場企業の営業収入は年平均で約1億4200万元(約8億3370万円)増加する。将来的に、人工知能の促進によって、ゲーム産業の規模は持続的に拡大すると予想され、2023年の3157億6000万元(約6兆2679億円)から2030年には1038億1000万元(2兆606億円)に上昇する見込みで、年平均成長率は約16%に達するとされている。

 北京大学(Peking University)計算知能実験室の主任、譚営(Tan Ying)教授は、「人工知能は本質的には人間の思考モデルを模倣して技術革新を進めるものであり、ゲームテクノロジーは人工知能にとって『低コスト』の実験場を提供している」と述べている。

 ゲームテクノロジー分野において、より明瞭な視覚効果、スムーズなインタラクション体験、高速な実行速度、そしてより鮮明なゲームキャラクターを追求するために、人間は理論、技術、倫理の面から人工知能に対して新たな科学的問題と技術的要求を提起し続けている。これにより、人工知能の持続的な発展が推進されている。

 研究チームは3192人の専門家とインターネット関連の業界関係者に対してアンケート調査を行った。調査結果では、ゲームテクノロジーが人工知能に関連する画像認識、マルチエージェント (MAS)ゲーム、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、インテリジェントロボット、強化学習など、17の技術分野の発展において強力な推進役となっているとみている回答者が多数いた。

 その成熟度と影響力の向上に伴い、人工知能の応用はさまざまな領域で拡大し、深化している。ゲームテクノロジーと人工知能の結合によって生まれたイノベーションの事例もより豊富になっている。

 交通から医療、金融から文化観光に至るまで、ゲームテクノロジーは人工知能とその産業応用に付加価値の効果をもたらし、人工知能の持続的で革新的な発展を促進するための豊富な基礎シーンを提供している。ゲームテクノロジーは「先導的な」応用シーンの優位性により、人工知能の最先端分野における大規模なイノベーションに持続可能かつポジティブな影響をもたらしている。

「ゲーム産業はゲームの枠を超え、より競争力のある、現実的な応用に近い最先端技術を育成し、国の科学技術の発展に十分な「燃料」を提供すべきだ」と、国務院参事官、中国科学院仮想経済・データ科学研究センターの石勇(Shi Yong)主任は述べている。(c)科技日報-CNS/JCM/AFPBB News