【5月30日 AFP】ウガンダ政府は29日、「2023年反同性愛法」がヨウェリ・ムセベニ(Yoweri Museveni)大統領の署名を受け、成立したと発表した。同法は世界で最も厳格とされ、人権団体やLGBTQ(性的少数者)団体、欧米諸国からは批判の声が上がっている。

 ウガンダ議会は今月、反同性愛法の改正法案を可決。不道徳な欧米の価値観の影響から自国の価値観を守るのが狙いで、内政干渉は断固阻止するとしていた。

 改正法では、同性愛者を自認しても犯罪にならないが、「同性愛行為への関与」には終身刑が科される。ムセベニ大統領は「加重同性愛」を死刑とする規定を削除するよう勧告していたが、議会で拒否されたため、再犯には死刑が宣告される可能性もある。ただし、ウガンダではここ数年、死刑は執行されていない。

 これを受けて人権団体は「明白な憲法違反」と主張し、高等裁判所に提訴したと明らかにした。

 一方、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は「普遍的な人権に対する悲劇的な侵害」と非難し、同法の即時撤廃を要請。ウガンダ向け援助・投資の削減と制裁、さらに人権侵害や汚職に関与した同国人の入国制限を検討する考えを示した。

 欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表も、ウガンダ政府には「全国民を保護し、その基本的権利を守る義務がある」と指摘。「義務を履行しない場合は、国際的なパートナーとの外交関係が損なわれることになる」と警告した。

 ウガンダの旧宗主国で、統治下では同性愛を禁じていた英国は「衝撃を受けた」とし、「極めて差別的」な法律だと非難した。

 ただ、キリスト教徒が大多数を占めるウガンダでは、同法は国民から幅広い支持を得ている。アフリカでは約30か国で反同性愛法が導入されているが、ウガンダの法律は最も厳しいとされる。(c)AFP