砂漠の民の伝統「サンドホッケー」 モロッコ
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【6月4日 AFP】サハラ(Sahara)砂漠の西端にあるモロッコのオアシスの町で、ターバンを巻きチュニックを着た遊牧民たちが伝統的なスポーツ「サンドホッケー」に興じている。
アラビア語のハッサニア方言で「mokhacha」と呼ばれるサンドホッケーは古くに伝わったもので、芝の上で行うホッケーやアイスホッケーと多くの共通点がある。選手ははだしで、ヤシの木で作ったスティックを持ち、ラクダの毛を丸めたボールを追う。
南部ムハミドエルギズラン(M'hamid El Ghizlane)で5月1日、恒例の国際遊牧民フェスティバル(International Nomads Festival)が開催された。
イベントの一環として行われたサンドホッケー大会に参加した男性は「私たちの先祖は遊牧民で、野営地を決めたらまず一休みし、それから暇つぶしに対戦した」「サンドホッケーはサハラの伝統の一部だ」と話した。
試合の参加者は、砂漠の強い日差しから身を守るため、遊牧民たちが好むゆったりとしたチュニックを着用し、頭と顔にはターバンを巻いている。
1チームには少なくとも7人の選手がいる。コートラインは砂に大ざっぱに手書きされる。
「遊牧民のホッケー」とも呼ばれるサンドホッケーは、他の伝統的スポーツと同様、失われつつある。
伝統スポーツの保存と振興を行う団体のトップは、「関心を持ってもらう」ために大会を企画し、試合への参加を呼び掛けていると話した。
英国にある「世界初で唯一」のホッケー博物館(Hockey Museum)によると、サンドホッケーは他のホッケーと同じくらい長い歴史がある。同館のウェブサイトには、エチオピアやチュニジアにもサンドホッケーがあると記されている。
国際遊牧民フェスティバルの参加者は、アイスホッケーとサンドホッケーのどちらが古いかは分からないが、「西洋人も自分たちと同じようなスポーツをしていたとは、昔の遊牧民は当然ながら知らなかったはずだ」と言った。(c)AFP