【5月28日 Xinhua News】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所はこのほど、第2回青蔵高原総合科学調査チームの科学者が中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)のチョモランマ地域で、魚竜に属するヒマラヤサウルスの化石を新たに発見したと明らかにした。今回の発見は、同高原でこれまでに確認されているこの先史時代の巨大動物に関する科学的認識を深め、洗練させ、同地域の中生代の生命進化に関する研究に寄与する。

 魚竜は、すでに絶滅した中生代海棲爬虫(はちゅう)類の一種で、恐竜が陸上を支配する以前からすでに海を支配していた。1960年代に中国の科学者が同地域を調査し、魚竜の化石標本2点を採集した。長い口と鋭い歯を持つ、体長10メートル余りのこの巨大な魚竜は「ヒマラヤサウルス」と名付けられた。ヒマラヤサウルスは2億1千万年前の海に暮らし、主に海にすむ魚類やその他の無脊椎動物を食べていた。

 今年3月から4月にかけてチョモランマ超高標高地域で行われた総合科学調査の過程で、同研究所の尚慶華(Shang Qinghua)研究員ら科学調査チームの隊員は、新たにヒマラヤサウルスの化石を発見した。

 以前行われた科学調査では、保存状態が良好なヒマラヤサウルスの化石はあまり見つかっていなかったが、今回発見された脊椎、肋骨の化石は保存状態が良い。1960年代に発見されたヒマラヤサウルスの化石標本2点は、度重なる輸送と修理、補強によって大きく損傷している。一方、同自治区日喀則(シガツェ)市定日(ティンリ)県でこのほど新たに発見された標本は、より完全で形がはっきりした状態で保存されており、チョモランマ地域の「先史時代の海の怪物」に関する、より多くのより確かな科学的情報を提供することが期待される。

 科学調査チームの王維(Wang Wei)氏によると、人間の脊椎の断面は1元硬貨ほどの大きさだが、今回発見されたヒマラヤサウルスの脊椎の断面は野球帽ほどある。また今回発見された標本は、過去数十年間に発見された大量の古生物化石の資料と結び付けることで、青蔵高原における生命の進化のプロセスをより深く理解するのに役立つという。(c)Xinhua News/AFPBB News