【5月25日 東方新報】中国では最近、「搭子(Dazi、ダーズ)」という新しい人付き合いのスタイルが広がっている。「特定の趣味や目的に限ってつながる手軽な仲間」を指す。一緒に食事をする「メシ友(飯搭子)」、トランプやマージャンをする「遊友(牌搭子)」は以前から言われているが、最近は「一緒に図書館で勉強する勉友募集」「求むカフェ友」などと幅広くなっている。

 北京のエリート大学・清華大学(Tsinghua University)3年の女性・江(Jiang)さんは、大好きな歌手のコンサートの時だけ落ち合う「推し友」がいる。「自分の周りに同じファンがいないので、SNSで搭子を募集しました。入場まで何時間も並ぶ間に一緒におしゃべりしたり、コンサートが終わった後に感想を話し合ったり。一人では味わえない喜びです」

 江さんのような「推し友」や、一緒に映画を見る「シネ友」などは、精神的なつながりを求める搭子のタイプ。長い受験勉強に挫折しないよう励まし合う「勉友」や体を鍛える「ジム友」は、試練を乗り越えるパートナーを求めている。中国の飲食店は日本のような定食は少なく大皿料理がメーンのため、「メシ友」は複数の料理を楽しみやすいメリットがある。

 ただ、「搭子には一種の『暗黙の了解』もあります」と江さん。「互いに生活で悩みや問題があっても、そうした話はしないし、聞いても手助けはしない。趣味のつながり以上に互いに干渉はしません」。搭子はあくまで「知り合い以上、友達未満」の関係という。

「2023年搭子スタイルの人付き合いリポート」という調査では、1431人にアンケートをしたところ回答した若者の半数以上が「搭子スタイルの人付き合いはメリットがある」と回答している。

 北京師範大学(Beijing Normal University)心理健康教育相談センターの羅暁路(Luo Xiaolu)教師は「親友関係を作るには一定の時間と互いの献身が必要ですが、現代の若者は勉強や仕事に追われ、生活のペースも速くなっている。親密な友情関係を築く余裕はないけれど、孤立を避けるため人とのつながりが欲しい。そんな気持ちから搭子が広がっている」と分析する。搭子スタイルの流行は、現代を生きる若者の生活と心情を象徴しているようだ。(c)東方新報/AFPBB News