【5⽉25⽇ Peopleʼs Daily】中国国家博物館(National Museum of China)が騰訊(テンセント、Tencent)と共同で制作した仮想デジタル人間の艾雯雯(Ai Wenwen)は、国家博物館が所蔵する文化財140万点以上の情報を土台に、自己学習能力や適応能力によって自らの知識を更新し、充実させている。艾雯雯は世界からの来館者に文化財を解説することができる。

 仮想デジタル人間はすでに中国の庶民の日常生活に入り込み、多くの分野で独特の役割を果たしている。例えば、敦煌市(Dunhuang)の飛天をモデルにして作られた仮想デジタル人の天妤(Tianyu)では、敦煌の壁画や飛天などの伝統と現代技術が融合しており、登場後たちまちにして人気を博した。

 国家大劇院(National Centre for the Performing Arts)と百度(Baidu)が打ち出した仮想デジタルキャラクターのArtガチョウは、自分専用の知識データベースを持っており、ユーザーと楽しい会話をすることができる。浙江省(Zhejiang)で宋代文化の普及を担う谷小雨(Gu Xiaoyu)は宋代の詩を次から次に披露することができる。

 仮想デジタル人間の制作過程には一般的に、キャラクターの動きについての骨組みと表面の連動、モーションキャプチャー、リアルタイムでの映像表示が含まれ、仮想現実(VR)やディープラーニングなどのハイテク先端技術を投入せねばならない。仮想デジタル人間を可能にしたのは、計算能力と通信速度の大幅な向上だった。

 このほど発表された「中国仮想デジタル人間影響力指数報告書」は、主要な仮想デジタル人間をバーチャルアイドル、バーチャル社員、バーチャルキャスターに分類した。この3種は商業化価値が最も高く、企業および資本の参加が最も盛んなタイプであり、消費財、金融、不動産、教育、文化旅行などのサービス業界に導入されつつある。

 仮想デジタル人間の飛躍的発展を実現する鍵は、使用シーンの深い洞察と技術の向上だ。騰訊雲(テンセントクラウド、Tencent Cloud)知能デジタル人間事業の責任者である陳磊(Chen Lei)氏は「当社の仮想デジタル人出発点は産業の需要です。そこで『数智人(スマートデジタル人間)』を登場させました」と語った。テンセントクラウド知能は「生産・販売・サービス」を一括して扱うプラットフォームを構築することで、ユーザー側が自らの考えで数智人を導入・生産・応用することができるシステムを実現した。テンセントの数智人は音声対話、自然言語理解、画像認識などのAI能力を統合することで、すでにメディア、金融、外出、文化旅行、政務など多くの業界に「入社」し、情報発信や文化旅行ガイドなどを担っている。

 仮想デジタル人間は業界の厳しい競争に「もまれて」いる。私たちの無限の想像を掻き立てつつ一層のスマート化、精密化、多様化の方向に発展しつつある仮想デジタル人間は、新たなチャンスと試練ももたらすだろう。業界関係者は、「先端技術分野の関連権利の法的保護ルートを積極的に模索し、仮想デジタル人間の開発者、運営者、ブランド側の合法的権益を保障することが、産業全体の健全な発展をさらに促進し、デジタル経済の持続可能な発展を推進する」との見方を示している。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News