【5月25日 Xinhua News】中国天津市(Tianjin)にある日本の漢方大手、ツムラの100%子会社、天津津村製薬ではこのところ、従業員が漢方薬の生産に追われている。同社はこのほど、生産拡大のため10億元(1元=約20円)を投じる第3期プロジェクトの建設を決定した。

 原料サプライヤーに近く港湾を有するという利点から、ツムラは2018年に同市浜海新区に第1期生産拠点を建設、22年に8億元を追加投資し第2期プロジェクト建設を進めた。

 日本企業だけでなく、欧米の多国籍企業も最近、続々と同市に投資している。3月、浜海新区の企業誘致団はフランス、ドイツ、デンマークを相次いで訪問し、フランスの建設機械大手、ファヤ(Fayat)グループなど5社と戦略的協力協定を締結し、既に実施中のプロジェクト25件の増資、生産拡大と、交渉中のプロジェクト12件の迅速な実施を実現した。

 欧州航空機大手エアバスはこのほど、「A320」シリーズ最終組み立て能力拡大のため、浜海新区が持つ天津港保税区に第2生産ラインの建設を決定した。

 中国商務部の重点外資プロジェクトとなるフランスの産業ガス大手、エア・リキードグループ天津水素エネルギー供給基地プロジェクトが先日、同保税区でスタートした。総投資額は10億元を超える見込み。

 同保税区水素エネルギー産業発展弁公室の責任者、羅春雨(Luo Chunyu)氏によると、同プロジェクトは京津冀(北京市、天津市、河北省)地域で最大の水素エネルギー供給基地の建設となり、同地域の水素供給能力がさらに向上するという。

 最新のデータによると、中国の開発開放のフロンティア、外資集積地である浜海新区には累計1万9千社の外資企業が進出しており、今年第1四半期(1~3月)の実行ベース外資利用額は前年同期比19・5%増の18億1千万ドル(1ドル=約139円)だった。

 同市は中国の4直轄市の一つで、地理的に日韓などの国に近いだけでなく、コンテナ取扱量で世界トップ10に入る天津港を通じて欧米へのアクセスも良い。同市は、中国で最も早く対外開放した都市の一つで、40年近く外資企業の投資を集め続けている。

 同新区に本社を置く中国第一汽車集団とトヨタ自動車の合弁会社、一汽豊田汽車(一汽トヨタ)は03年に設立された。同社は22年末、同新区にある中新天津生態城(中国・シンガポール天津エコシティー)で新エネルギー工場を稼働させ、中国での構造転換の歩みをますます加速させている。

 同社の白晶(Bai Jing)弁公室主任は「3月末までに、当社の新エネルギー車(NEV)の生産台数は前年同期比で80%以上増えた」と述べ、22年の累計生産・販売台数が1千万台を突破した後、同社は電動化モデルの製品化に力を入れていることを明らかにした。

 ドイツの真空定量充填機製造大手ハントマングループは同市で累計9億元近くを投資しており、同社のマルクス・ハントマン総裁は、「10年前に初めて投資したのは正しい判断だった」と話した。(c)Xinhua News/AFPBB News