【5月23日 AFP】米ジョージア州アトランタ(Atlanta)の拘置所で、シラミと排せつ物にまみれた状態で亡くなっていた容疑者の死因が、栄養失調と脱水症だったとする医師の診断書が22日、遺族により公表された。統合失調症の薬も1か月間投与されていなかったという。

 死亡したのは、黒人のラショーン・トンプソン(Lashawn Thompson)容疑者(35)。フルトン(Fulton)郡の検視官は昨年9月、死因は「不明」と発表していた。しかし、遺族に雇われた民間の医師、ロジャー・ミッチェル(Roger Mitchell)氏は「放置死」であり、「殺人」だとしている。

 路上生活を送っていたトンプソン容疑者は昨年6月12日、アトランタ市内にある保育施設前の公園で寝ているところを逮捕された。同容疑者には窃盗の容疑で逮捕状が出されていたが、この時は警察官に唾を吐いたとする「暴行」罪で収監された。

 同容疑者は保釈金を払えず、勾留され続けていた。

 ミッチェル氏の診断書によると、最初の2か月間の健康状態は良好だった。拘置所の精神医療の専門家は7月27日、同容疑者は清潔な独房で健康的な生活を送り、双極性障害と統合失調感情障害の薬を服用していると報告していた。

 しかし、ミッチェル氏によれば、その後43日間に受けた治療については「最低限」の記録しかなく、8月11日から死亡するまでの間に薬が渡された記録はなかった。

 亡くなった数日後にミッチェル氏が遺体を調べたところ、栄養失調と脱水症状がみられ、体重は18%減り、体の広範囲にシラミが寄生していた。

 遺族の弁護団は、当局に責任があると非難している。

 また、公民権問題を専門とする著名弁護士で、アフリカ系米国人に対する警察の虐待を数多く取り上げてきたベン・クランプ(Ben Crump)氏は、「精神を病んでいた市民が93日間、深刻な放置状態に置かれていた」「これが自然死ではないのは明らかで、殺人だ」と批判。地元当局に調査を求めた。(c)AFP