【5月27日 AFP】ウクライナの首都キーウ近郊の野原で、少年たちは使い古されたヘルメットをかぶり、おもちゃの銃を振りかざす。だが「戦争ごっこ」で遊ぶ子どもたちの周囲にあるのは本物の戦争であり、深刻な結果も伴う。
 
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1年以上がたち、戦争はウクライナの子どもたちの遊びや世界観に染み込み、一生消えることのない影響を与えている。

 子どもサイズの戦闘服と、見るからに大き過ぎる使い込まれたヘルメットを身に着け、プラスチックの銃を持ったマクシム・ムドラク君(10)は「戦争ごっこが大好き。大きくなったら本物の戦争で英雄になりたい」と話した。

 侵攻開始直後の2022年3月4日、マクシム君の父親オレクシーさん(当時40)は、従軍はしていなかったものの志願兵部隊に物資を届けに行き、命を落とした。

 キーウ近郊のストヤンカ(Stoyanka)でマクシム君と暮らす祖母のバレンティナさん(72)によると、侵攻が始まり父親を失うと、マクシム君は戦争に強い興味を示すようになった。

 バレンティナさんは「父親の死が途方もない影響を与えた。あの子は常に父親のことを考えている。お墓に行って泣いていることもある」と話す。

 マクシム君は、兵士になることが父親の記憶をとどめる手段だと言う。父親を奪った戦争の責任の所在についてもはっきりとした考えを持っており、「僕はロシア人を最大の敵と見なす」と語った。

 侵攻は甚大な破壊行為と苦悩をウクライナにもたらした。子どもたちは愛する人を亡くし、学校や家を失い、恐怖にさらされた。

 国連(UN)の統計によると、侵攻で死亡した子どもは500人を上回る。