【5月19日 AFP】英ロンドンの「デザイン・ミュージアム(Design Museum)」で19日、時代に合わせて変容するインドの民族衣装サリーの展覧会「オフビート・サリー(Offbeat Sari)」が開幕した。先駆的なデザインや現代に合わせて再構築されたものなど60点が展示されている。

 同館のキュレーター、プリヤ・カーンチャンダニ(Priya Khanchandani)氏は、5000年の歴史があるサリーは、過去10年で最も急激な変化を遂げたと説明した。

 展覧会では、インドのデリーやムンバイ(旧ボンベイ)で通勤中の若い女性が着用するものから、米ニューヨークで開催されるファッションの祭典「メット・ガラ(Met Gala)」に登場した華やかなデザインまで、21世紀に復活を遂げたサリーが取り上げられている。

 カーンチャンダニ氏が最初にサリーの復活に気付いたのは2015年だった。デリーで、伝統的に縫い目のない1枚の長い布を体にそわせて着用するサリーを作り替えようとしている数人のデザイナーに会ったのだった。

 カーンチャンダニ氏は展示を前にAFPの取材に応じ「サリーはとてもファッション性の高い日常着として復活していた。以前と比べ若い女性たちが着用していた」「知的レベルが非常に高く、作家やアーティストも多い。そして、想定していなかった着方をしていた」と述べた。

 特別な機会や結婚式に着るものと思われていたサリーが、Tシャツやスニーカーとも組み合わせることのできる日常着として復活していたという。

 大量消費社会とソーシャルメディアの登場が都市部中間層の拡大と相まって、サリーの復活が加速していると、カーンチャンダニ氏は指摘する。「インドで、特に若者の間で非常に大きな影響力を持つデジタルメディアの力がこうした動きを拡大し、サリーの着方が草の根運動のようになっている」