【5月19日 AFP】イタリア北部エミリアロマーニャ(Emilia Romagna)州を今週襲った豪雨で洪水が発生し、18日までに10人超が死亡、約1万人が避難した。

 低地となっている同州南東部では、20本前後の河川が氾濫。住宅街や農地全体が水没し、約400本の道路が冠水している。

 歴史ある街並みと美食で知られるイモラ(Imola)近郊でも住民が汚水をかき分け、浸水した家屋からできる限りの家財を運び出していた。

 当局によると電力は一部復旧したが、約2万7000人がいまだ停電の影響を受けている。

 イタリア最大の農業組合コルディレッティ(Coldiretti)は18日、5000か所以上の農場が水没し、動物が溺れたり、数万ヘクタール相当のブドウ園、果樹園、畑などが冠水したりしたと明らかにした。

 週末に向けては雨が小降りとなる見込みだが、当局は河川に対する警戒態勢を維持するとしている。

 同州では今回の豪雨以前にも、今月ほぼ2日間降り続いた雨の影響で2人が死亡している。

 同州のステファノ・ボナッチーニ(Stefano Bonaccini)知事は17日、国営テレビLa7に対し「2週間前に記録的な豪雨が降ったところに、36時間で6か月分の雨が降った。これ以上、土壌が持ちこたえるのは不可能だ」と語った。

 同氏は前回の豪雨だけですでに20億ユーロ(約3000億円)規模の被害が出ており、「巨大(復興)事業」のために募金を開始したと述べた。

 同州を本拠地とする高級車メーカー、フェラーリ(Ferrari)は100万ユーロ(約1億5000万円)の寄付を約束した。

 またこの洪水により、21日にイモラで開催される予定だったフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)第6戦エミリアロマーニャGP(Emilia-Romagna Grand Prix 2023)は中止が決定された。(c)AFP/Helene DAUSCHY