【5月20日 Xinhua News】古代シルクロードは数千キロに及び、数千年にわたり、絶え間なく行き交う使者や商人の姿を見守ってきた。東西交流の懸け橋となったこの道では、貨幣があたかも衣服をつなぎ合わせるボタンのように人々を結びつけ、交易や知識交流、友好往来のにぎわいを記録してきた。

 貨幣は物を語らないが、そこには中国と中央アジア諸国との「シルクロードの記憶」が刻まれている。中国陝西省の西安、ウズベキスタンの首都タシケント、タジキスタンの首都ドゥシャンベでそれぞれの「記憶」をたどる。

 西安:「開元通宝」に似た外国の古銭

 西安には隋唐時代の長安城の西市遺跡に建てられた大唐西市博物館がある。大唐の西市はシルクロードの重要な国際交易市場だった。かつては中央アジアや南アジアの商人がこの地に暮らし、商いを行った。

 館内の「シルクロードの古銭」展示エリアには、特別な意味を持つ外国の古銭が展示されている。古銭は当時の中央アジアに存在したテュルク系遊牧騎馬民族の国、突騎施(とっきし、テュルギシュ)のもので、唐の貨幣「開元通宝」とよく似ている。中央に四角い穴が開いた円形方孔銭で、持ち運びしやすいようになっている。この小さな貨幣は、当時の中国と外国の文化が相互に影響し合い、融合していたことを物語っている。

 タシケント:紙幣に描かれたシルクロード

 中央アジア諸国の貨幣の中には、今でも中国との交流を語り継ぐものがある。ウズベキスタンが2021年に発行した紙幣は、古代シルクロードをテーマにしており、文化的建造物や遺跡、出土品などを図柄に採用している。

 透かしに描かれたラクダは、シルクロードで数千年にわたり響き渡ったラクダの鈴の音をほうふつさせ、中国と中央アジアの古くからの密接な交易と友好往来を人々に示している。

 ドゥシャンベ:紙幣に描かれた「建設協力」

 タジキスタンの200ソモニ紙幣には、壮大な建造物が描かれている。首都ドゥシャンベにある国立図書館で、中国企業が建設を請け負った。地元で人気を集める首都のランドマーク、文化活動の中心地となっており、中国とタジキスタンの友好のシンボルでもある。

 貨幣は各国の豊かな歴史を受け継ぎ、各地の文化の姿を映し出している。貿易を促し、文化の融合を促進し、人々の友好を深める上で重要な役割を担っている。

 古代シルクロードで西安は起点の一つであり、中央アジアは必ず通らなければならない道だった。現在の中央アジア地域は「一帯一路」構想の提唱地、相互接続の手本の地であり、今後も貨幣のように人々を結びつける多くの絆が、善隣友好とウインウイン協力による新たなシルクロードの物語を語り継いでいく。(c)Xinhua News/AFPBB News