【5月19日 東方新報】中国の「母の日」は、日本と同じ5月第2週の日曜日。今年も多くの市民が5月14日の「母の日」に合わせ、母親にプレゼントを贈った。カーネーションやバラ、ボタンといった花を贈るのが定番だが、最近はジュエリーや洋服、化粧品、スマート家電など高額の品物をプレゼントする若者が増加。「ママは友達」という感覚の女性が多くなり、一緒にコンサートに行ったり旅行を楽しんだりしている。さまざまな消費は中国経済の活性化をもたらし、「孝心経済(親孝行経済)」「感恩消費(感謝の消費)」とも呼ばれている。

 その中で、母親に感謝を示す形も多様化している。

 北京在住の95後(1990年代後半生まれ)世代の肖揚来(Xiao Yanglai)さんは毎年、母親に「520」の数字に合わせた現金をプレゼントしている。「520(Wu Er Ling)」という発音が「我愛你(Wo Ai Ni=愛している)」に近いためだ。学生時代は5.20元(約102円)しか渡せなかったが、社会人1年目には520元(約1万208円)、そして社会人4年目の今年は5200元(約10万2080円)を贈った。肖さんは「母親はすごく幸せそうな顔をしてくれました。私の成長を感じているようです」と笑顔を浮かべる。

 中国では「母の日」に「母親の足を洗う」「母親のために食事を作る」などの行動で感謝を示すことも多い。12歳の雛思源(Zou Siyuan)さんは手製のギョーザを母親にプレゼントした。同い年の謝濤蔚(Xie Taowei)さんは手作りでウサギの親子の人形を贈った。「わがままばかり言って迷惑かけているけど、ずっと私のママでいてね」と伝えると、母親は涙を流したという。

 中国西部の重慶市(Chongqing)では、ブドウ園で働いている女性の子どもたち数十人が一緒に園内で仕事を体験。子どもたちは母親に教わりながら枝の刈り込みや葉っぱの除去、ブドウ取りをしていた。働いた後は母子で一緒に食事を味わい、楽しいひとときを過ごしていた。

 南部の広州市(Guangzhou)のテーマパーク・長隆野生動物世界(Chimelong Safari Park)では「1日母親体験」というイベントを開催。幼い赤ん坊を連れた母親を招待し、オナガザル科のフランソワルトンの母子を見学した。フランソワルトンは赤ちゃんの時は体毛が金色に近く、成長すると黒色になる。体毛の色が異なるのは、群れのおとなの「子守行動」を誘発させるためといわれている。真っ黒な母親たちが金色の子どもを見守る姿に、見学する母親たちは種を超えた「母の愛」を感じていた。(c)東方新報/AFPBB News