【5月17日 AFP】第76回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)が16日、フランス・カンヌ(Cannes)で開幕した。レッドカーペットには俳優のジョニー・デップ(Johnny Depp)の姿もあったが、デップの参加は物議を醸している。

 デップは、元妻で俳優のアンバー・ハード(Amber Heard)との法廷闘争でアルコールと薬物依存、ドメスティックバイオレンス(DV)疑惑など私生活が取りざたされ、今も物議を醸している。

 だが、米娯楽誌バラエティ(Variety)の先週の報道によると、ディオール(Dior)の香水の広告塔として2000万ドル(約27億円)という過去最高額の契約を結び、年内にアル・パチーノ(Al Pacino)が出演するアメデオ・モディリアーニ(Amedeo Modigliani)の伝記映画の監督を務めるなど、「キャンセルカルチャー(著名人などが言動を理由に批判・排斥される風潮)」とは無縁だ。

 映画祭のオープニングを飾ったのは、デップがフランス国王ルイ15世(Louis XV)を演じた『Jeanne du Barry(原題)』。オープニング作品の選定については、これまでも疑問視されてきた。

 同作はコンペティション部門には出品されていないが、最高賞「パルムドール(Palme d'Or)」の審査員には、デップの参加について質問が飛んだ。

 性暴力の告発運動「#MeToo(私も)」支持を表明している俳優のブリー・ラーソン(Brie Larson)は動揺した様子で「なぜ、わざわざ私に?」「それについては、よく分からない」とコメントした。

 映画祭の総代表を務めるティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏は15日、「私が関心を持っているのは俳優としてのデップだ」と述べた。

 一方、仏映画産業関係者のグループは、カンヌ映画祭は「暴行する人間をレッドカーペットを敷いて歓待している」と非難した。ネットでも、デップの招待に怒りの声が上がっている。

 レッドカーペットにはこのほか、ユマ・サーマン(Uma Thurman)、ヘレン・ミレン(Helen Mirren)、エル・ファニング(Elle Fanning)らが登場し、ファンの声援を受けた。

 パルムドールを競うコンペティション部門21本のうち、女性監督の作品は過去最多の7本。他に英国のケン・ローチ(Ken Loach)監督、是枝裕和(Hirokazu Kore-eda)監督、ドイツのヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督ら、パルムドール受賞経験者による作品も出品されている。

 映画祭は今月27日に閉幕する。(c)AFP/Eric RANDOLPH and Fran BLANDY