■それでも残る人

 病院には複数の病棟があり、病床数は約250床。

 現在は侵攻で家を失った高齢者25人が地下室を防空壕(ごう)代わりにして暮らしている。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は昨年7月、ドネツク州の非戦闘員に避難命令を出したが、トルバチェワさんの診療所は今も開いている。

 病院にとどまった看護師のエレナさん(51)は「脳梗塞を患った寝たきりの患者や歩けない患者は移送された」と話した。

 トルバチェワさんは破壊された病院から医薬品などを多数回収した。人道支援も増え、診療所となっている自宅には豊富な物資がある。しかし、それもわずかな慰めにしかならない。

 戦争のストレスに苦しんでいる人へのアドバイスを聞くと、トルバチェワさんは「出ていくこと。眠れないとか憂鬱(ゆううつ)だとか訴える患者にはここを離れるよう伝える」と語った。ただし、この助言を無視する人は多い。

「皆、住んでいる場所に愛着を持っている。いくら怖くても、全員が離れるわけではない」

 映像は4月14日に撮影。 (c)AFP/Jonathan BROWN