小さな車輪が産業を大きく回す
このニュースをシェア
【5⽉16⽇ Peopleʼs Daily】中国では「サイクリング熱」が高まり続けている。中国自転車協会によると、2022年には自転車および電動自転車について、統計の対象となる一定規模以上の企業の売上高が前年比3%増の2100億元(約4兆1067億円)で、利益は同20%以上増加して100億元(約1956億円)を超えた。中国では自転車の小さな車輪が産業を大きく「回して」いる。
山東省(Shandong)日照市(Rizhao)で10年前からスポーツ自転車専門店を営む李根生(Li Gensheng)さんによると、2022年には売上台数が過去最高の1500台以上だった。特に人気があるのはロードバイクという。
日照市では近年、動力源付きの車両の通行が許されない「グリーンウェイ」2本が開通した。湖や山、海岸部を通る総延長60キロ以上の道で、多くの観光地を結んでいる。李さんは「乗る人が増え、乗る環境が良くなっているので、その恩恵を受けています」と説明した。
中国では青海湖(Qinghai Lake)一周線、四川チベット線などの従来からのサイクリングルートに加えて、四川省(Sichuan)から雲南省(Yunnan)にかけての絶景を楽しめる大シャングリラ環状線、河西回廊に沿って進むシルクロードの旅などの新興ルートの人気が出ている。
山東省楽陵経開区の泰山瑞豹複合材料(Pardus)の王春青(Wang Chunqing)社長は電子秤を取り出して、同社製のロードバイクの重さを図ってみせた。5.80キロと表示された。
ロードバイクにとって軽量化は重要であり、そのためには新素材が欠かせない。同社は炭素繊維の自転車車輪、フレーム、サドルの製造などで65件の独自技術を持つ。専門化や斬新さなどを強みとする「小さな巨人企業」だ。
王社長によると同社では2022年、国内販売が倍増した。現在は年末まで予約でいっぱいだ。そのため生産ラインを拡大し、生産スマート化プロジェクトに着手した。
中国では自転車関連の大会の開催に熱心な地方が増えている。安徽省(Anhui)黟県(Yi)悦途体育公司トップの黄偉生(Huang Weisheng)氏は、中国には長い歴史や独特の文化を持つ名所が多いので、自転車関連の大会で出場者や観客を呼び寄せる上で有利と説明した。さらに魅力的な旅行商品を開発することで、自転車というスポーツと旅行の融合が進んでいるという。
最近になり開催された第18回中国黄山(黟県)国際自転車オープンでは、参加申し込みの受付が半日で満員になった。参加者に配るバッグには、地元の特産品も入れた。メイン会場には農産物の展示販売や無形遺産伝承展示のエリアも設置した。地元で生産される工芸品や菓子類は、特に人気があった。大会前後には、オンラインだけで注文額が600万元(約1億1733万円)を超えたという。
中央財経大学(Central University of Finance and Economics)体育経済研究センターの王裕雄(Wang Yuxiong)主任は「サイクリングなど屋外スポーツは観光地、民宿、村などを連結することができます。異なる業態のそれぞれの強みを相互補完して、より大きな市場を成立させて、参加する人々の多元化した消費ニーズを満たし、集積効果をよりよく発揮することができます」と説明した。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News