【5月16日 東方新報】中国では近年、かつてのヒット映画の再上映がブームとなっている。4月3日からはハリウッド映画『タイタニック(Titanic)』(1997年製作)が公開され、4月11日には日本のアニメ『名探偵コナン ベイカー街の亡霊(Case Closed: The Phantom of Baker Street)』(2002年製作)が上映されている。

『タイタニック』は中国本土で1998年4月3日に公開され、「街から人が消え、映画館に詰めかけた」と言われるほどの大ヒットで、興行収入は3億6000万元(現在のレートで約70億4002万円)と当時の中国歴代記録を塗り替えた。2012年には3Dバージョンも公開。地方に映画館が少なかった1998年当時をはるかに上回り、興行収入は9億4600万元(約184億9959万円)に達した。

『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』は最新リマスターではなく復刻版の上映だが、4月10日~16日の週間ランキングで興行収入は1326万元(約2億5930億円)で7位に食い込んだ。観客からは「懐かしさを感じながら鑑賞できる」「最近のコナン映画より面白い」と評判という。

 こうしたリバイバルブームは数年前から始まっている。

 中国で2009年に上映された『東邪西毒 終極版(Ashes of Time Redux)』が『(主演の)レスリー・チャン(Leslie Cheung)をしのぶ』というコピーで再上映され、2500万元(約4億8889万円)の収入を記録。宮崎駿(Hayao Miyazaki)監督の『となりのトトロ(My Neighbor Totoro)』は2018年に上映され興行収入は1億元(約19億5556万円)に達し、2019年には『千と千尋の神隠し(Spirited Away)』が5億元(約97億7780万円)を超えた。今年6月1日には『天空の城ラピュタ(Castle in the Sky)』も上映される予定だ。

 中国では映画人気が高まっており、コロナ禍が始まるまでは毎年のように年間興行収入は新記録を更新していた。市民の消費力が向上し、「かつて海賊版で見た作品を映画館の大画面で見たい」「思い出にひたりながら映画を見たい」という層が増えており、制作費のかからない名作の再上映は一定の収益が見込める。

 ただ、リバイバル上映には「安易すぎる」という意見もある。今年上映の『タイタニック』は話題を集めておらず、「懐かしむのは2回目の上映で十分。3回目はいらない」と冷ややかな声も。宮崎監督のシリーズでも、2020年に中国で上映された「崖の上のポニョ」の興行収入は2800万元(約5億2756万円)で、他の宮崎作品よりは低調だった。

 中国では厳格なコロナ対策が緩和され、映画以外に旅行や買い物、食事などさまざまな「リベンジ消費」が活発になっている。映画人気が高まる一方、映画料金は2019年の平均38.9元(約760円)から今年第1四半期は47.1元(約921円)に上がっている。「名作映画のリバイバルならヒットする」とは必ずしも言えない状況にもなっている。(c)東方新報/AFPBB News