【5月16日 Xinhua News】中国の科学者が組織した国際研究チームが、貴州省にある500メートル球面電波望遠鏡(FAST、通称『中国天眼』)が世界で初めて検出した持続的な反復高速電波バーストの磁場反転を明らかにした。研究成果は12日、国際学術誌サイエンスに掲載された。

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 高速電波バーストは宇宙で起こる電波爆発の一種で、太陽が約1年かけて放射するエネルギーを1ミリ秒で放出する。

「中国天眼」の李菂(Li Di)首席科学者によると、今回の発見には3大陸の国際的な大型観測装置のデータが使われた。論文の研究対象となった反復高速電波バースト「FRB 20190520B」は、李氏が主導した観測プロジェクトが発見。2019年5月以降の毎回の観測で一つまたは複数の望遠鏡でバーストが検出されていた。

 研究チームはオーストラリアのパークス望遠鏡と米国のグリーンバンク望遠鏡も使用して同高速電波バーストを17カ月間観測。浙江省にある之江実験室のインテリジェント・コンピューティング天文プラットフォームのアルゴリズムを用いてデータを処理した。

 論文の共同筆頭著者を務めた之江実験室インテリジェント・コンピューティング天文研究センターの研究者、馮毅(Feng Yi)氏は「総合分析の結果、反復高速電波バーストの周囲の磁場に極端な反転が存在していることが分かった。バーストは連星で起きたことを意味しており、連星の伴星(暗い方の星)はブラックホールや大質量星の可能性がある」と説明した。

 今回の発見は、高速電波バーストの起源研究を進める重要な一歩になる。「中国天眼」が発見した反復高速電波バーストは、すでに一連の重要な発見とモデルを生み出しており、今回の成果も計算天文学分野の重要な進展となる。(c)Xinhua News/AFPBB News