【5月16日 CNS】中国南部の広東省(Guangdong)の税務部門は環境に配慮した企業にさまざまな「グリーン税制優遇政策」を実施している。これを受けて洋上風力発電の開発が本格化しているほか、伝統的な石油化学製品もより環境に配慮したものになり、水素エネルギーへの転換も進んでいる。

 広東省陽江市(Yangjiang)にある港湾工業団地を訪れると、巨大な工場建屋の中で労働者が風力タービンの主要部品を組み立てていた。ここは東方電気(広東)能源科技会社(Dongfang Electric)の洋上風力発電設備の製造拠点だ。

 2022年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で同社の生産・操業は大幅に縮小し、年間営業利益は9900万元(約19億円)にまで落ち込んだが、2023年には回復し、第1四半期の営業利益は8100万元(約16億円)に達した。

 同社のような風力発電企業の多くが陽江市に集まり、風力発電設備の産業チェーンを形成している。現在、同市には42の製造プロジェクトがあり、企業が集まって産業チェーンが形成された効果が現れている。

 伝統的な石油化学産業の主要都市である広東省茂名市(Maoming)も産業転換への道を模索し、石油化学産業からグリーン化学、水素エネルギー産業への転換を推進している。

 茂名市では、東華能源(茂名)会社のメタンをはじめとするアルカンガス資源総合利用プロジェクトの第一期が試運転の段階に入っている。プロジェクトの総投資額は1000億元(約2兆円)以上、カーボンフリー生産の実現を目指している。

 広東省湛江市(Zhanjiang)の東海島(Donghai island)では、世界的なグリーン石油化学産業が成長しつつある。中華煉化(Zhongke Refinery and Petrochemical)のコントロールセンターでは、常にリアルタイムのデータが更新され、スタッフが一元的に指示を出し、工場全体の生産ユニットを自動制御することができる。現在、中科製油所の精製能力は年間1500万トンに達し、エチレン能力も年間80万トンになっている。

 湛江市税務局の王立(Wang Li)氏は「2018年から2022年まで湛江市の環境保護税減免額は5年連続で増加傾向を維持しており、その減免総額は1億5000万元(約29億円)を超え、うち製造業が26%を占めている」と紹介した。(c)CNS/JCM/AFPBB News