【5月15日 AFP】米ニューヨークの地下鉄でホームレスの男性が首を押さえ付けられ死亡した事件をめぐり、被告を支援するクラウドファンディングで、これまでに集まった額が160万ドル(約2億1800万円)以上となっていることが分かった。クラウドファンディングは、極右団体に利用されることで知られるオンライン募金サイトで行われている。

 今月1日に起きた事件では、元米海兵隊員ダニエル・ペニー(Daniel Penny)被告(24)が、電車内でホームレスのジョーダン・ニーリー(Jordan Neely)さん(30)を押さえ付ける様子を捉えた動画が拡散された。ニーリーさんは、地下鉄内で米歌手マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんの物まねをすることで知られていた。

 ペニー被告は第2級過失致死で訴追され、その後、保釈された。「危険」な行為でニーリーさんを死なせた罪に問われているが、故意との断定はされていない。

 被告を支援する募金ページを設けたのは、弁護を担当する法律事務所レイザー・アンド・ケニフ(Raiser & Kenniff)。使われた募金サイト「ギブセンドゴー(GiveSendGo)」は、極右団体や白人至上主義者団体などが企画する、他のクラウドファンディングサイトでは規約違反になるような募金キャンペーンの掲載を認めることで知られている。

 ニーリーさんの死をめぐり、多くの人権団体や政治家は怒りの声を上げた。一方で、共和党所属のロン・デサンティス(Ron DeSantis)フロリダ州知事はペニー被告の行動を擁護するメッセージをSNSに投稿している。

 事件を捉えた動画では、ペニー被告が倒れたニーリーさんの首の辺りを数分間にわたり押さえ続けていることが分かる。

 目撃者によると、ニーリーさんが他の乗客に向かって「食べ物も飲み物もない」と大声を上げたところ、ペニー被告がニーリーさんを押さえ付けた。

 ニーリーさんは物理的に他者を脅すようなそぶりはしていなかったとされる。

 家族や友人はメディアに対し、ニーリーさんは精神疾患を患っていたと話している。ニューヨークでは、ホームレスの人々に精神疾患がある割合が高いことが分かっている。(c)AFP