【5月12日 AFP】AFP通信のウクライナ駐在動画コーディネーター、アルマン・ソルディン(Arman Soldin)氏(32)が、今月9日、同国東部チャシウヤール(Chasiv Yar)郊外で、ロケット砲による攻撃を受けて死亡した。

 ソルディン氏はAFP取材班の一員として、ウクライナ軍部隊に同行していた。他のメンバーによると、午後4時半ごろ、多連装ロケット砲BM21「グラート(Grad)」による攻撃を受けた。ソルディン氏は地面に伏せていたところ、近くにロケット弾が着弾して死亡。現場は、数か月にわたり激戦が続くバフムート(Bakhmut)に近い。

 ソルディン氏はボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ出身で、フランス国籍。生まれて間もなくボスニア紛争を経験していて、家族と共にフランスへと逃れた。

 AFPローマ支局でインターンとして働いた後、ロンドン支局で正式採用された。ロシアによるウクライナ侵攻開始翌日の昨年2月25日、AFPが派遣した第1陣メンバーとして現地入りした。9月からはウクライナに常駐していた。

 ソルディン氏が取材した映像は、世界中で報じられた。

 AFPの編集トップであるフィル・チェットウィンド(Phil Chetwynd)グローバルニュースディレクターは「本当に生き生きとした彼の姿を私たちは忘れることはないだろう。彼はジャーナリズムに対する信念を貫いてきた。その思いが困難な状況でも報道を続ける原動力になったのだ」と話した。

 またジュリエット・オリエラルース(Juliette Hollier-Larousse)報道副ディレクターは「アルマンは情熱にあふれ、エネルギッシュで、どんな時でも明るい人だった」と話した。

 ソルディン氏は、ロシアによる侵攻後、ウクライナで取材中の報道関係者として少なくとも11番目の犠牲者となった。

 映像はソルディン氏が2022年2月以降にウクライナで取材・撮影したものや、過去のソルディン氏によるリポート。(c)AFP