【5月12日 東方新報】「上海モーターショーは、国際的な展示会のみならずグローバルイノベーションの共有のプラットフォームです」

 そう表現したのは、イタリア高級スポーツカーブランド、マセラティ(Maserati)ダヴィデ・グラッソ(Davide Grasso)CEO。

 4月18日から10日間にわたって開催された今年の上海モーターショー。約1000社が出展した世界最大級のモーターショーの主役は、電気自動車(EV)やHEVハイブリッド車(HEV)といった新エネルギー車だった。新エネ車は展示車全体のほぼ3分の2を占め、世界の自動車市場の「電気化」の流れを反映したものとも言えた。

 最先端の展示に加え、国内外の多くのメーカーが全面的な事業展開のロードマップを発表するなど、個性化やハイエンド化によって新エネ車分野で一歩先んじようという強い意欲を示した。

 先のグラッソ氏によれば、マセラティでは2025年には傘下の全ての車種で電動タイプを発売、2030年までに全面的に電気化するという。

 中国メーカーを例に挙げれば、上海汽車集団(SAIC)は、新エネ車分野で3年間の行動計画を発表。2025年までに、新エネ車の年間販売台数目標を2022年の2.5倍となる350万台に引き上げ、傘下のグループ各社を含め計13モデル以上の新エネ車を発表する予定という。

 広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)はNEXTと称する戦略を発表。NEXTとは、New EV+XEV Transitionの略。「EV+ICV」(電動化+スマート化)と「XEV+ ICV」(ハイブリッド化+スマート化)の二つの路線を基本とし、傘下ブランド「広汽埃安(GAC Aion)」のEVにおける優位性を維持した上で、「広汽伝祺(Trumpchi)」はプラグインハイブリッド車(PHEV)、レンジエクステンダーEV(REV)、ハイブリッド車(HEV)への転換を目指すという。

 新エネ車分野でトップを走る比亜迪汽車(BYD)は、高級ブランド「仰望(Yangwang)」のEVスーパーカー「U9」を披露した。また、同ブランド初の量産高級SUV「U8」の予約販売を正式に開始、価格は109万8000元(約2123万円)。「U8」は四つのモーターを独立制御する「易四方(Yisifang)」など、同社が独自開発した複数の新技術が搭載されていることでも注目されている。同社は、庶民車のアピールでも余念がなく、ハッチバックタイプの小型EV「海鴎(Haiou)」で7万8800元(約153万円)という低価格を実現し、関係者を驚かせた。

 中国の自動車メーカーのある関係者は「2030年までに新エネ車の市場でのシェアは約66%に達するものの、技術的には純電気、プラグインハイブリッド、ハイブリッドが3分するだろう」と予想する。一気にEVへの移行が進まないのは、充電スタンドの不足に加え、バッテリーの安全性など技術的な課題が残されているためだという。この関係者は「自身のメーカーでは過渡的に当面はハイブリッド車を中心とした事業展開になる」とした上で、「未来は必ずEVの天下であり、どの企業もこの流れ逆らうことはできないでしょう」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News