【5月13日 AFP】英国のバレエ団、バーミンガム・ロイヤル・バレエ(Birmingham Royal Ballet)のリハーサルスタジオで、ダンサーがピルエットにエアギター、跳躍にヘッドバンギングを組み合わせた新しいステップを試みている。キューバ出身の芸術監督、カルロス・アコスタ(Carlos Acosta)氏(39)が考案した世界初のヘビーメタルバレエ、「ブラック・サバス──ザ・バレエ(Black Sabbath -- The Ballet)」だ。

 2020年に英国第2の都市に降り立ったアコスタ氏は、この街の文化遺産をたたえようと決意。バーミンガム出身のバンド「ブラック・サバス」のオリジナルメンバーでギタリストのトニー・アイオミ(Tony Iommi)さん(75)に話を持ち掛けたところ、フロントマンのオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)さんの賛同を得た。

 アイオミさんは先月27日、市内でAFPのインタビューに応じ、「アイデアに魅了された。ブラック・サバスでどうやってバレエを踊るのか想像もつかなかったし、ソフトな曲を使うんだろうと思った。でも、実際に使われたのは『ブラック・サバス』や『ウォー・ピッグス(War Pigs)』、『アイアン・マン(Iron Man)』などだった」と語った。

 全3幕の公演は今年9月、地元バーミンガムを皮切りにツアーに出る。

 脚本を手掛けたリチャード・トーマス(Richard Thomas)氏によると、作品は工場で働いていた4人の若者が、ロック史上最も成功したバンドの一つになるまでの「サクセスストーリー」だ。

 ブラック・サバスは自分たちが関心を持っていたオカルトや黒魔術をバンドカラーとして打ち出し、大音量かつダークな音色のギターで1970年代初頭のヘビーメタル創生に貢献した。

 アイオミさんが板金工場での仕事の最終日に事故に遭い、2本の指先を失ったことや、ツアー用に古代遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」を模して作ったセットが大きすぎて会場に入らず、やむなく廃棄したといった有名なエピソードも登場する。