【5⽉13⽇ Peopleʼs Daily】「苗寨(ミャオ族の村)でシナリオに沿って遊んで、ミャオ文化に没入して体験するのは、本当に面白いです」――。中国・貴州省(Guizhou)黔東南ミャオ族トン族自治州(Qiandongnan Miao and Dong Autonomous Prefecture)の西江千戸苗寨景勝区で「西江幻地」を体験した観光客の趙さんの言葉だ。

「西江幻地」は複合現実(MR)と5G技術を組み合わせて観光客に「謎解き」を楽しんでもらう取り組みだ。MRゴーグルを装着すれば、バーチャルな奇観や宝物が現実空間と溶け合う。観光客はミャオ文化を背景にしたストーリーに沿って、暗号解読と宝探しを体験する。

 観光資源の開発や管理を手掛ける企業である貴州省西江千戸苗寨文化観光発展営業部の羅龍宝(Luo Longbao)主管によると、5Gネットワーク利用で構築された「スマート観光プラットフォーム」により、観光客は観光地のリアルタイム地図やルート案内を見るだけでなく、スマート駐車情報、関連スポット紹介、お勧め観光ルートを知ることができる。このことで、観光客は旅行の「前・中・後」の全過程でのサービスを受けることが可能になった。

 中国では、5Gスマートガイドや5G+VR/AR(仮想現実/拡張現実)を利用した没入型観光が続出しており、「クラウド観光」やライブ配信などのサービスも登場した。観光客にとって、豊富で多様な遊びの新体験が「ロック解除」されつつある。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の寛窄巷子景勝区でも、5GやIoT(モノのインターネット)などの技術により、各設備がより「スマート」になった。例えば、トイレには赤外線人流センサーが設置されており、トイレの現状や毎日の人出などの状况を把握することで、より合理的な清掃員の配置が可能になった。ごみ箱も、いっぱいになれば速やかに処理するよう担当者に通知する。

 5G、IoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ブロックチェーン、超高画質動画、デジタルツインなどの技術を十分に利用して「5G+スマート観光リアルタイムモニタリング」や「緊急指揮プラットフォーム」を建設することで、リスク防止や調整・緊急処置能力も高められた。

 中国政府・文化と観光部情報センターの信宏業(Xin Hongye)副主任は、観光産業のスマート化発展について「産業と技術の有機的結合の実現で、産業の発展に存在する弱点や難点を解決せねばならない」との見方を示した。

 観光関連企業の貴州省畢節時空観光文化発展の申開軍(Shen Kaijun)副社長によると、かつては観光の繁忙期に、人が多いために通信障害が発生して、観光客に不快な思いをさせてしまうことがあった。「今では5Gスマート景勝区プラットフォームの構築により、5GWi-Fiフルカバーを実現しました。より多くの観光客を呼び込めただけでなく、景勝区の好評度も上昇しました」という。

 文化財の保護や展示、景勝区の運営効率と緊急管理能力の向上に役立つデジタル景勝区の建設は、観光の利便化を促進して観光客の満足度を高めるため、景勝区の現代化建設に欠かせない選択になっている。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News