【5月8日 AFP】オーストラリア・ニューサウスウェールズ(New South Wales)州のシドニー・オペラハウス(Sydney Opera House)では、重要な出来事に合わせて特別なライトアップが行われてきたが、同国の元首でもあるチャールズ英国王(King Charles III)の戴冠式があった6日には行われなかった。

 州首相に就任したばかりのクリス・ミンズ(Chris Minns)氏(労働党)が、前任者による計画を中止したためだ。

 これまでは、LGBTQ(性的少数者)の権利拡大を訴えるイベントや、ウクライナ侵攻開始1年、エリザベス英女王(Queen Elizabeth II)の死去などに際し、特別にライトアップされてきた。

 ミンズ氏はライトアップについて、ラジオ局に8日、「オーストラリアとオーストラリアの人々のため、そしてわが国への献身と英雄的行為をたたえるため、もしくはシドニーで重要な国際的イベントがあるときだけにしたい」と説明した。

 オペラハウスが特別にライトアップされたのは、10年前は年23回だったのに対し、昨年は70回。1回につき推定8万〜10万オーストラリア・ドル(約730万〜910万円)の費用が掛かったとしている。

 同氏は、戴冠式が行われたのは「シドニーでなくロンドンだ」と指摘。新たな国王には「敬意を抱いている」とした上で、「君主制支持者や王政支持者を敵に回したいわけではないが、当然のことながら、税金の使い道については慎重にならなければならない」と話した。

 オーストラリアでは、複数の世論調査から、君主制の廃止と共和制への移行を支持する割合が高いことが分かっている。(c)AFP