【5月8日 CNS】保温ボトルにはクコの実を入れ、オフィスでは「八段錦」の気功をたしなみ、退勤後は艾灸院で肩こりを癒し、友達と一緒に中国で一番有名な漢方薬の老舗「同仁堂」でクコの実ラテを飲む。古代の中国の中医学(中国の伝統医学)は、今や中国の若者の生活の新たなトレンドになっている。

 カッピング療法(熱したガラス容器を用いて皮膚を吸引し、その部分を鬱血状態にすることによって治療に役立てるという代替治療)、鍼灸、整骨、推拿(すいな)マッサージなどの伝統的な中医療法は、座りすぎのサラリーマンやスポーツ愛好家の「福音」で、中医の「膏方(水あめ状の内服薬)」は、スモッグ対策やストレス緩和の新たな「解毒剤」として認識されている。現在、中医病院での診察は、中高年のみならず、若いサラリーマンも頻繁に利用するようになっている。

「非薬物療法を利用したうつ病、不眠症、肩こりなどの職業病の緩和のため、ますます多くの若者が中医療法を求め始めている」と、南京中医薬大学(Nanjing University of Chinese Medicine)国医堂ゼネラルマネージャーの孫立新(Sun Lixin)さんは述べた。孫さんは、サラリーマンと子どもが中医の主要な顧客層になっていると分析している。退勤後の食事会を断り、鍼や推拿マッサージに中医館や中医病院を訪れることが、サラリーマンの世界で流行している。中医によってダイエットや美容を目指す若い女性もいる。

 中国で有名なナレッジシェア型ソーシャルプラットフォームの豆瓣(Douban)には、「中医養生」というキーワードを含むグループがあり、中医を学びたいという熱心なユーザーが集まっている。中でも最大の学習グループには2万人以上のメンバーがいる。また、2億人以上のユーザーを抱えるソーシャルメディアの小紅書(Red)では、若い養生ブロガーが中医養生の経験を共有しており、例えば「艾灸」のトピックには10万以上のノートがある。

 事業者も「中医ブーム」からビジネスチャンスを掘り起こしている。従来、中医といえば、高齢の中医師、苦い煎じ薬、病気はずっと治らないのに続ける通院、あるいは鍼灸やカッピング療法などの中医療法器具といったイメージが一般的だった。しかし、現在では、中国の多くの事業者は、「ライト中医」というビジネスチャンスを見出し、中医を食事、養生、美容、そしてレジャー・社交などに結びつけ、中医の健康理念を日常生活や消費に取り入れるようになっている。

 当帰(とうき)、ニンジンなどの成分を含むフェイスマスクは、コスメカウンターでベストセラー商品となっている。また、女性の生理痛を和らげる温かい湿布、漢方薬成分のゼリーのおやつ、漢方薬成分の湿布のタトゥー風の文化クリエイティブグッズなどもある。同仁堂など100年以上続く漢方薬の老舗はカフェを開業した。診察、社交、小売りが一体化されたこのような中医空間は、中国の消費の新たなトレンドとなっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News