ロシア刑務所の虐待に賠償命令 欧州人権裁判所
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【5月3日 AFP】欧州人権裁判所(ECHR)は2日、ロシア政府に対し、刑務所内の非公式な序列で最下位に位置付けられる「追放者」とされ、虐待や排斥の対象とされた受刑者に賠償金を支払うよう命じた。
11人の原告はいずれも受刑者または元受刑者。同じ受刑者から、「追放者」のレッテルを貼られたと主張している。
「追放者」は他の受刑者から孤立させられ、「汚れ仕事」を強いられ、さらに性的暴力を含む虐待の対象とされる。
2013~17年に訴えを起こした原告らは、これらの行為はすべて刑務官の許可の下、黙認されていたと述べている。
ECHRは、原告の証言と学術的な研究などにより「訴えは立証された」と判断。原告らは「汚名を着せられ、身体的・社会的に隔離され、雑務を強要され、寝具や衛生、医療といった基本的ニーズを奪われ、暴力によって脅され、時に身体的・性的暴力も受けた」と認定した。
さらに虐待が刑務所職員によって直接行われたわけではないという事実は、国家の責任を軽減するものではないと指摘。「ロシア当局が対策を講じなかったことは虐待への加担とみなせる」とし、欧州人権条約第3条に違反した都市、原告一人当たりに2万ユーロ(約300万円)の補償を命じた。
ロシアは1998年に欧州人権条約を批准したが、昨年のウクライナ侵攻後、欧州評議会(Council of Europe)を脱退した。そのため昨年9月以降、裁判所命令の履行義務はなくなったが、それ以前の違反行為に対する履行義務は負っている。(c)AFP