【5⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国・海南省(Hainan)瓊海市(Qionghai)に位置する東嶼島(Dongyu Island)は、ボアオ・アジアフォーラム(Boao Forum for Asia)の会場所在地だ。中国政府・住宅都市農村建設部と海南省政府は2022年、この地で「ゼロカーボンモデル区」を共同で創設し、都市部におけるカーボンニュートラルの道筋を模索すると決定した。第1期建設分は今年3月に、検査に合格した。

「ゼロカーボンモデル区」についてまず押さえておかねばならないことは、「ゼロカーボン」ということだ。この「ゼロカーボン」とは「排出ゼロ」を意味するのではなく、いわゆる「カーボンニュートラル(炭素中立)」を目指すものだ。海南省住房和城郷建設庁の劉聯偉(Liu Lianwei)副庁長は、「エネルギー、建築、交通、廃棄物処理など多くの分野で排出削減のための高度な技術を集積し応用し、林業によるカーボンシンク(炭素貯蔵)を新たに導入するなどで相殺させる措置により、地域内で排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素を同量にして、外部に排出される二酸化炭素をゼロにすることです」と説明した。

 劉副庁長は、「その次は『モデル』です」と続けた。統計によると、現在の世界の炭素排出総量のうち、71%〜76%は都市部由来であり、都市建設におけるグリーンと炭素削減の改善は、全世界におけるカーボンニュートラル目標の実現にとって重要な意義を持つ。

 東嶼島は都市として開発されてきた。建設が始まったのは20年以上も前であり、設備や施設が比較的古く、資源の循環利用率が比較的に低いなどの問題に直面している。この問題は、既存の都市部につきものだ。新規建設区ではなく既存の都市建設区でゼロカーボンの実験を行うことはより難しく、課題がより多い。しかし一方ではより現実的な意義を持ち、「実施可能、普及可能、再現可能」な経験を得ることができる。中国城市規劃設計研究院海南分公司の胡耀文(Hu Yaowen)院長は、「東嶼島のゼロカーボンモデル区は都市建設区のグリーン・炭素削減改造問題を模索するミクロモデルになる。我が国の都市のグリーン・炭素削減に経験を提供するだけでなく、持続可能な発展とカーボンニュートラルの探求に優れたモデルを提供する」と述べた。

 東嶼島では、全ての自動車が「グリーン・ブランド」だ。

 海南電力網電力調整制御センターの余加喜(Yu Jiaxi)総経理は、東嶼島内ではすでに交通のグリーン化改造が全面的に実施されていると説明した。「油を燃料にする自動車は、島に入ることが許されない」という。島の内外にはグリーンスマート駐車場が建設されており、398か所の充電スタンドすべてが海南省の充電インフラである「一張網」運営プラットフォームに接続されている。また、島内には太陽光発電と蓄電を組み合わせた自動車用スマート充電ステーションも新設されており、液冷技術を利用することで、最短10分で車両をフル充電することができる。

 グリーン電力を確保するためには、例えば東嶼島外に12ヘクタールの営農型太陽光発電基地が設けられている。すでに11メガワットの電力が送られており、プロジェクト第2期分を合わせれば約20メガワットに達することになる。島内では計5.1メガワットの分散型太陽光発電の実現が計画されており、すでに3.82メガワット分の送電が始まっている。島内には各種エネルギー貯蔵施設と非常用電源車17台があり、夜間あるいは悪天候で太陽光が不足する場合に電力を供給することで、島内の各設備を正常に稼働させている。

 完成された都市部で低炭素化を行う上で直面する問題の一つは、住民の日常生活や仕事の質を落とさず、効率を落とさないことを確保した上で、いかに炭素の排出を減らすかということだ。東嶼島での実行チームはそのために、固形廃棄物の再利用、ごみの資源化、雨水回収などから着手し、資源利用の最大化を模索している。現在までに島全体で年間約15万トンの雨水を資源として利用できるようになったという。

 東嶼島には、建物面積4000平方メートルを超えるボアオ・アジアフォーラム報道センターがある。この島内最大の建物に、どのようにグリーン化改造を行ってきたのか。

 劉聯偉副庁長は、「報道センターの前には風車が並んでいます。微風でも稼働して、風力エネルギーを集めて発電することができます」と説明した。さらに、建物屋根には太陽光発電パネル629枚が設置され、その後方にはグリーン電力を貯蔵するための大型の「蓄電装置」が設置されている。ここでは世界範囲でアイデアを募集した結果、清華大学(Tsinghua University)のチームが独自の知的財産権を持つ、全バナジウム液流技術が採用された。同技術では長時間大量充電が可能で、充電可能回数は従来のリチウム電池の約4倍だ。この報道センターで構築された電力システムは、太陽光発電、蓄電、直流電流、柔軟性を同時に出現させるPEDFシステムとして中国最大だ。かつては年間65万キロワット時だった消費電力は52万キロワット時に低減し、同時に年間55万キロワット時の発電が可能になった。つまり、「エネルギー消費ゼロ」だけでなく、余剰分を外部に供給することが実現された。(c) Peopleʼs Daily /AFPBB News