【5月18日 AFP・AFPBB News】男子プロテニス協会(ATP)は先月、2025年から線審を廃止し、自動判定システムに完全に切り替えることを発表した。線審は長年、ライン際の判定を瞬時に行い、試合の進行に貢献してきたが、その一方で選手との騒動に巻き込まれることも多々あった。ここでは、2025年以降は起きないであろう、過去に物議を醸した選手と線審のトラブルを紹介する。

■ノバク・ジョコビッチ 2020年全米オープン

 2020年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)では、優勝を目指していたノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)がパブロ・カレーニョ・ブスタ(Pablo Carreno Busta、スペイン)との男子シングルス4回戦で、女性線審の喉に誤ってボールを打ち込み、失格になったことが話題を呼んだ。

 サービスゲームを落としたことにいら立ちのあまり打ったボールが線審に当たった。その後ジョコビッチは「この状況全体が本当に残念でむなしい」「線審の方の確認をして、大会からも幸い彼女は大丈夫だと伝えられた。彼女にあんなストレスをかけてしまったことを非常に申し訳なく思っている。意図していなかった。間違いだった」と謝罪した。

■ダビド・ナルバンディアン 2012年エイゴン選手権

 2012年のエイゴン選手権(AEGON Championships 2012)では、ダビド・ナルバンディアン(David Nalbandian、アルゼンチン)がマリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)との男子シングルス決勝で、広告看板を怒りに任せて蹴り、線審にけがをさせて失格処分を受けた。

 線審は脚を負傷して出血。ナルバンディアンは「今回の行動を謝罪する。選手はコートでフラストレーションを爆発させてしまうことがある。それはコントロールが難しいものだ」と話し、「間違いだった。あんな形で決勝が終わるのはつらい。自分の過ちだし、代償は支払わなくてはならない。誰でも間違いは犯す」と謝罪した。

■セレーナ・ウィリアムス 2009年全米オープン

 2009年の全米オープンでは、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)がキム・クライシュテルス(Kim Clijsters、ベルギー)との女子シングルス準決勝で、フットフォールトを取られて相手にマッチポイントを握られた。

 これに怒ったセレーナが女性線審に暴言を浴びせると、線審はこの件を主審に報告。すでにラケットをコートにたたきつけて警告を受けていたセレーナは、これで1ポイントのペナルティーを科され、クライシュテルスの勝利が決まった。

 セレーナは線審に向かって「このボールをあんたの口に突っ込んでやる」と言ったようにみえるが、「殺すだなんて言ってない。冗談でしょ?」と弁解していた。(c)AFP