【5月6日 People’s Daily】中国の歴史を象徴する万里の長城。そのかたわらで寒風のため髪がボサボサになるのも気にせず、魯婷婷(Lu Tingting)さんが気象計を設置し、風向、気温、湿度などを記録した。 「これらのデータは、長城を保護する重要な基盤となります」

「90後(1990年代生まれ)」の魯さんは甘粛省(Gansu)嘉峪関市(Jiangyuguan)出身。大学院卒業後、故郷に戻り、嘉峪関シルクロード(万里の長城)文化研究所に入所し、万里の長城の保護活動にいそしんでいる。

 万里の長城は中国で最も広大な文化遺産だが、自然による侵食と人間による破壊などのため、ほとんどは廃虚となっている。 近年は保護活動が活発となっており、その中には魯さんのような若者も多くいる。豊富な専門知識と若々しい熱意で、古代の長城を新しい活力で輝かせている。

 魯さんは嘉峪関市で3年以上、山林や砂漠などにある各地の長城を巡視し、表面の風化や亀裂などの確認をしている。

 長城の大半は険しい地形にあり、一部はたどりつく道すらなく、手足を使ってよじ登るのも困難だ。

 河北省(Hebei)秦皇島市(Qinhuangdao)盧竜県(Lulong)の郭洪秀(Guo Hongxiu)さん(32 歳)は、県庁から30キロ離れた万里の長城を守っている。郭さん一家は1980年代から保護活動に携わり、郭さんは3代目となる。「祖父はいつも、『長城は中華民族の貴重な財産だ』と言っていました。歴史を破壊から守らなければいけません」

 1984年生まれの尚珩(Shang Heng)さんは、2010年に北京文化財研究所 (現在の北京考古学研究所)に勤務。十数年にわたり歩いて各地の長城を調査し、その距離は3000 キロを超える。古代建築、材質、植物などの専門家と共同で、最新技術も取り入れながら修復活動を進めている。

 魯さんもドローンなどを活用しており、「デジタル技術に基づき科学的な保護計画を立てています」と話す。多くの人々が革新的な取り組みをすることで、歴史的文化財が守られている。(c)People’s Daily/AFPBB News